ミズノプロ M-13アイアンの試打計測を行ったのでレビューします。
計測にはトラックマン4を使用(今まではGCクアッド使っていましたが、アプリなどソフトウェアの使いやすさから変更しました)

結論から言っておくと、打感も飛距離も高さもすべてがハイレベル過ぎて完璧なまでの出来栄えでした。
M-13アイアン自体も文句無しでおすすめですが、純粋なワンピース軟鉄ヘッドでなくてもここまでフィーリングが出せるようになったとなると、今後も楽しみです。
目次
ミズノプロ M-13アイアンの概要とデザイン

正直、飛び系とは違ってこの手のハーフキャビティ系のアイアンはどこをどうやって進化させるのがかなり難しいところに差し掛かっているとは思うのですが、M-13アイアンは軟鉄素材単一での作り込みにこだわらないというアプローチを取ってきたのが面白いところかなと思います。

今回のM-13アイアンの大きな特徴は、番手別最適設計の徹底です。ロング番手(No.4〜5)は、飛距離と上がりやすさを最重視して、クロムモリブデン鋼を使ったフルポケットキャビティ構造。慣性モーメントを高めつつ、フェース中心部の厚みを緩やかに変化させることで初速アップが狙える「コンターエリプスフェース」というテクノロジーを使ったいるのが特徴です。

ミドル番手(No.6〜8)は、クロモリ鋼をフェースに使っている点は同じながら、マイクロスロット構造を採用し、薄肉化と反発性能の最適化を両立。
操作性を失わず、安定して距離を打ち分けられる設計に仕上げられています。
さらに、ショート番手(No.9、PW、GW)では、S25CM軟鉄によるフェースネック一体のフル鍛造構造になっている。ここはもうミズノお馴染みのツアーアイアンという感じですね。
要するに、簡単に言えばM-13アイアンは既製品でありながらもコンボアイアンみたいな感じのコンセプトになっていて、番手ごとにより優しく打てたり最適化させていこうというのが狙いです。進化の限界点に来ているハーフキャビティアイアンとしては、この狙いは良さそうな気がする。
ただ、今作で驚異的なのは、素材がこれだけ違うにも関わらず、打感やフィーリングに一貫性がある点です。
そもそもショートアイアンは軟鉄一体タイプなので、ミズノ特有のソフトな打感なのは言うまでもありませんが、ミドル以降もなぜかかなりのソフトフィーリングです。なんで?
実際に打ってみると本当に素材が違うのか疑問に感じるレベルでした。いやーかなりすごいです。


次にヘッド形状ですが、ここについてはミズノ顔ですね。普通に良いです。

トップラインは「243」とほぼ同等ながら、やや薄めに見える処理が施されているっぽくて、構えたときにはめちゃくちゃシャープです。


ソールにはリーディングエッジとトレーリングエッジに丸みを持たせた「トリプルカットソール」が採用されていて抜けの非常に良いです。
という内容で、ゼロから開発コンセプトを見直した新しい挑戦という感じのアイアンで、非常に面白いなと思います。正直ハーフキャビティアイアンに面白みがあまりなくなってきたし、今後のトレンドになりそうな複合アイアンセットの走りになりそうです。
スペックは下記
番手 | ロフト角(°) | ライ角(°) | バウンス角(°) | FP(mm) | 長さ(inch) | 素材・製法 |
---|---|---|---|---|---|---|
#5 | 25 | 61.0 | 3.0 | 3.3 | 38.25 | SCM420(フェースネック)+SUS431(バック) 精密鍛造+精密鋳造 |
#6 | 28 | 61.5 | 4.0 | 3.4 | 37.75 | SCM415 精密鍛造 |
#7 | 32 | 62.0 | 5.0 | 3.6 | 37.25 | SCM415 精密鍛造 |
#8 | 36 | 62.5 | 6.0 | 3.8 | 36.75 | SCM415 精密鍛造 |
#9 | 40 | 63.0 | 7.0 | 4.0 | 36.25 | S25CM(軟鉄) 精密鍛造 |
PW | 44 | 63.5 | 8.0 | 4.1 | 35.75 | S25CM(軟鉄) 精密鍛造 |
ミズノプロ M-13アイアンの試打計測データ



試打計測の平均データが下記
2024年以降、アイアンはヘッドスピード37tm/s〜39m/sの範囲内での計測に統一しています(1m/sぐらいは前後するのはご了承ください)。
項目 | 平均値 |
---|---|
クラブスピード | 37.1 m/s |
ボールスピード | 50.3 m/s |
スマッシュファクター | 1.35 |
打ち出し角 | 20.2° |
スピン量 | 5,776 rpm |
キャリー | 157.0 yd |
トータル距離 | 164.6 yd |
最高到達点 | 31.8 yd |
落下角度 | 48.7° |
スピン軸 | -0.6° |
曲がり幅 | 0.8 yd(左) |
キャリーサイド | 9.2 yd(左) |
打ち出し方向 | -3.1° |
キャリー157yd、スピン5,776rpm、最高到達点32ydと、飛距離と高さのバランスがめちゃくちゃ良いんじゃないでしょうか。
平均スピン軸は-0.6°、曲がり幅0.8ydと、実質ストレートに近い、本当に軽めのドロー系の安定した球筋で、打ち出し方向のブレも小さくて安定性も上々。
飛距離性能と上がりやすさの分析

ロフト32°の7番アイアンとしては結構飛距離も良いです。当サイトの平均からすると、同ロフト帯と比較して平均で2ヤードぐらい飛んでいます。平均値と比較してなので結構大きい差です。
ほぼ160ヤードぐらいをキャリーで狙えるので十分すぎますね。クロモリ鋼とスロットフェースの効果もしっかり出ているのか、初速もけっこう優秀。
飛距離を犠牲にしたくない派にとってはかなり嬉しい性能に感じますね。

高さも申し分ないです。平均値は31.8ヤードと高弾道帯を推移していますし、なにより落下角度が48.7°なので止めやすさに関しても問題なし。
とはいえ、今作はちょっとバックスピン量が少なめな傾向には感じましたね。
平均で5776回転だったので、200から300回転ぐらい少ないです。ただし、打ち出しが付きやすくて高さを確保できるタイプだったのでそこまで大きな懸念点というわけでもありません。
低く出ていって、めくれるような弾道イメージというよりは、今風のやや高めに打ち出される高弾道系で風にも比較的強いようなタイプです。これはPGAツアーなどでのトレンドなので、むしろ強みと捉えてもいいかもしれません。
個人的に打球の質としては強弾道寄りになりつつも、高さで止められるので好みでした。
それから、縦距離についても誤差が小さくて、ミスによる飛距離ロスもハーフキャビティとしては抑えられているあたりも実戦向きな印象です。
弾道や球筋、方向性の分析

つかまり方はニュートラルでほぼストレートな弾道が基本形となりました。スピン軸の平均は-0.6となっていて、いわゆるサイドスピンという指標でいうとほとんど曲がりが発生していません。

試打データ全体の分散データを見てもばらつきが小さいのがわかってもらえるかなと思います。
サイドスピン系のデータがめちゃくちゃ優秀なので、左右誤差がマジで小さい。あと、さっきも言ったように縦距離の誤差もあまりないので、集弾性がめちゃくちゃ良いです。
左右ブレは左に9ヤードぐらいとなっていますが、これは打ち出しがやや左に出ていることが主な要因です。

ちなみに、つかまりやすくはないアイアンです。
筆者自身はドローヒッターなので、それを踏まえるとフェードバイアスぐらいの雰囲気があります。
ミズノプロ M-13アイアンのフィーリング

打感については面白かったです。
素材や構造が番手ごとに異なるにもかかわらず、非常に一貫した打感になっているのがビックリで、7番とかは特にクロモリ鋼ですが、インパクト時の手応えはなぜか「一体成の軟鉄アイアンらしい」軟らかさがあって、ボールがフェースに乗る感覚を十分に得られるという謎仕様。
とはいえ完全な軟鉄一体成型のショートアイアンと比べるとちょっとは硬質感は出ているけど、それでも十分すぎるほど柔らかく仕上げてきたなと思います。関心。
ミズノらしい軟鉄鍛造の打感を残しながらも、構造的に打点エリアを広げ、インパクトの再現性を高めた設計思想が、フィーリング面にもきれいに反映されているモデルだと感じました。お見事です。
ミズノプロ M-13アイアンの性能評価チャート
ミズノプロ M-13は、飛距離・直進性・打感のバランスが非常に高次元でまとまった現代型フォージドキャビティです。
スピンはちょっと物足りなさがあるのですが、それを補うほどの高さと落下角度で止まりづらさも感じません。
ミスへの寛容性や打感の一貫性も両立されていて、完成度は想像以上でした。
まとめ

どうせいつものミズノプロでしょー・・・と思っていたのですが、だいぶ改良されててモダンなハーフキャビティになっていて驚きました。
飛距離も十分に出るし、方向性も高さも申し分ない結果。はっきり言って非の打ち所がない完璧なまでの仕上がりで脱帽です。
クロモリ鋼を頑なに使い続けたきたミズノが、ここに来て驚異的なフィーリングを出せるようになっている点にも注目したいところ。
もはや弱点を探すほうが困難です。文句無しでおすすめなアイアンです
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