ミズノプロ FLI-HI ユーティリティ(2025)の試打レビュー|トラックマン4でデータ計測の試打計測を行ったのでレビューします。

計測にはトラックマン4を使用しています。(今まではGCクアッド使っていましたが、アプリなどソフトウェアの使いやすさから変更しました)
目次
ミズノプロ FLI-HI ユーティリティ(2025)の概要とデザイン

ミズノプロ FLI-HI(2025年モデル)は、ロングアイアンの難しさを補いつつ、高弾道と安定したキャリー性能を両立させるために進化した、アイアン型ユーティリティです。ツアー仕様のシャープな見た目に、実戦向けの高機能が凝縮されています。

最も注目すべき技術革新はコンターエリプスフェースの採用です。フェースセンターを厚くし、そこから楕円状に薄くした後、再び厚くするという独特の構造を持ちます。この設計により、フェース全体でのボール初速向上と、芯を外した際の飛距離安定性を両立させています。ミズノの鋳造品と比較して、オフセンターヒット時の性能が向上したとメーカーは説明しており、前作からの最大の進化点となっています。

さらに、約26gのタングステンウェイトをソールに内蔵することで、重心を従来よりも低く深く設計。高打ち出しと高弾道を実現し、グリーンに止まりやすい弾道が得られます。この点も前作からの明確な進化です。


外観面では、溶接位置の見直しによりトップエッジがシャープに。構えた際に引き締まった印象を与え、アイアンと同様のフィーリングでアドレス可能です。デザインと機能の両面で、実戦を意識した完成度の高いユーティリティといえるでしょう。
スペックは下記。
項目 | #3 | #4 |
---|---|---|
ロフト角 | 19.0° | 21.5° |
ライ角 | 60.0° | 60.5° |
バウンス角 | 0° | 1.0° |
フェースプログレッション(FP) | 2.2 mm | 2.3 mm |
クラブ長さ | 39.25インチ(60度法) | 38.75インチ(60度法) |
バランス | D1 | D1 |
クラブ質量(参考) | ― | 約400g(Sシャフト) |
シャフト | N.S.PRO MODUS³ TOUR 105(S) | |
シャフト重量 | 106.5g(カット前)/元調子 | |
グリップ | Golf Pride M31(ミズノオリジナル)49g/口径M60/バックライン有 | |
フェース・本体素材 | ニッケル・クロムモリブデン鋼 精密鋳造 | |
ウェイト材 | 約26g タングステンウェイト内蔵(ソール部) | |
仕上げ | ニッケルクロムメッキ・サテン・Gray IP+EFバッジ | |
製造国 | 日本製 | |
発売日 | 2025年8月29日 | |
価格(税込) | 34,100円(単品) | |
保証 | ミズノ正規2年間保証 |
ミズノプロ FLI-HI ユーティリティ(2025)の試打計測データ


2024年以降、ユーティリティはヘッドスピード39m/s〜41m/sの範囲内での計測に統一しています(1m/sぐらいは前後するのはご了承ください)。

試打計測の平均データが下記
クラブスピード | 39.8 m/s |
---|---|
ボールスピード | 56.8 m/s |
スマッシュファクター | 1.43 |
打ち出し角 | 15.8° |
スピン量 | 4,099 rpm |
キャリー | 192.8 yd |
トータル距離 | 207.1 yd |
最高到達点 | 31.4 yd |
落下角度 | 43.7° |
スピン軸 | -2.8° |
曲がり幅 | 4.8 yd(左) |
キャリーサイド | 12.0 yd(左) |
打ち出し方向 | 2.1 (左) |
特筆すべきは、スマッシュファクター(ミート率)が平均で1.43という高い数値を記録した点です。UTアイアンとして結構良いですね。
飛距離性能と上がりやすさの分析

4番ユーティリティでキャリー平均192.8ヤード、トータル207.1ヤードという結果でした。
ボール初速は平均56.8m/sで、スマッシュファクターは1.43と高効率なエネルギー伝達を実現しています。21.5度のロフトを持つ4番としては、標準的な飛距離性能を発揮していると言えます。

今作の目玉となるコンターエリプスフェースの効果は、ボール初速の面では確認できました。55.7〜58.0m/sの範囲で推移しており、芯を外した際も極端な初速低下は見られなかったです。スマッシュファクターも1.40〜1.45の範囲に収まっており、フェース全体での反発性能の高さが数値に表れていたかなと思います。
上がりやすさに関しては、タングステンウェイトによる低重心設計の効果が明確に現れています。打ち出し角は平均15.8度で、最高到達点は31.4ヤードと適度な高さを確保しています。着地角度は43.7度と理想的な角度に近くて、グリーンでも問題なく止められますね。
ただ、スピン量が3,400〜4,100rpmと700rpm程度の変動が見られたのは気がかりな部分だと思っています。
弾道や球筋、方向性の分析

球筋に関しては、わずかなドローバイアスが見られました。スピンアクシスは平均-2.8度で、キャリーサイドは平均12.0ヤード左という結果。

弾道傾向は一貫していて、全てのショットで左方向への偏りがありますね。
ただし、極端なフック回転ではなく、穏やかなドロー系の球筋となっています。
筆者がそもそもドローヒッターなので、そう感がえればつかまり方はニュートラルな感じでストレートイメージを持ってもらえればと思います。

方向性の安定性については、課題が残る結果となりました。キャリーサイドは5.2〜9.7ヤード左と約4.5ヤードの幅があり、スピンアクシスも-3.4度から1.2度まで約4.6度の変動が見られます。
散布図を見ても左右への広がりが確認でき、当サイトの試打基準では方向性のばらつきが大きい部類に入rかなと思いますね。
アイアン型ユーティリティとしては特別やさしいタイプではなく、比較的難易度は高いめだと判断します。
ミズノプロ FLI-HI ユーティリティ(2025)のフィーリング

打感については、中空構造らしい弾き感が明確に感じられます。
打音は、やや高めの金属音が響きます。ミズノが数十ヘルツ単位で音をチューニングしたとされていますが、実際には中空構造特有の響きが残っています。
とくにこの手のUTアイアンとしては普通なので不快な音ではありませんが、ミズノの軟鉄アイアンで感じられるような心地よい低音とは明らかに異なります。
また、前作からのフィーリング面での進化は、正直なところ感じられませんでした。コンターエリプスフェースという新技術が採用されているものの、打感や打音の質感は前作と大きく変わっていない印象です。
ミズノプロ FLI-HI ユーティリティ(2025)の良かった所・微妙な所
ミズノプロ FLI-HI ユーティリティ(2025)の性能評価チャート

最大の強みは、弾道の高さとスピン性能の高さにあります。
スピン性能も8.5点と高評価で、グリーンを狙う際に必要な止まる性能を十分に備えています。UTアイアンで高さが欲しい人にはかなり良いと思います。あと、顔もとても良いです。
一方で、方向性と安定性が6.0点という結果。キャリーで約13ヤード、左右で約4.5ヤードのばらつきは、ピンを狙う精度を求める場面では不安材料と感じました。案外ばらつきが出たんですよね。
今作はコンターエリプスフェースによる寛容性の向上が謳われているものの、実測では期待したほどの安定性は得られませんでした。
また、中空構造らしい弾き感は残っており、ここはいつもどおりでしたね。まあ、しょうがない。
コストパフォーマンス7.5点という評価は、この性能で定価34,100円だったら妥当かと思います。
全体的に上げやすさの面では優しく感じましたが、方向性という部分での安定感がちょっと物足りない印象。評価的にはぼちぼちです。
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