今回取り上げるのは「TENSEI Pro Black 1K Core」。こちらを購入し、さっそく試打計測を行ったのでレビューします。
計測にはトラックマン4を使用(今まではGCクアッド使っていましたが、アプリなどソフトウェアの使いやすさから変更しました)

結論から言うと、低スピンかつ高初速のライナー系弾道を安定して生み出せる、叩ける元調子シャフト。
飛距離性能と方向安定性の高さは特筆もので、強振しても弾道が暴れず、左ミスをしっかり抑えられます。捕まりは控えめですが、その分安心感が高く、パワーがありつつ左を消したいプレーヤーには圧倒的におすすめ。元調子ながらしなり戻りの速さによるブースト感も心地よくバランスが絶妙でした。
目次
TENSEI Pro Black 1K Coreの概要とデザイン

TENSEI Pro Black 1K Coreは、三菱ケミカルがアスリート向けに開発した元調子系シャフトの最先端モデルです。モデル名の「CORE」には、高性能素材「1Kクロスカーボン」をシャフト内層に配置した革新的な構造と、TENSEIシリーズの中心的存在としての役割という二つの意味が込められているそうです。

1Kクロスは炭素繊維1束あたりのフィラメント数が少なく、織目が非常に細かいことで知られる素材で、高い成形自由度と補強効率を実現します。この特性により、樹脂量を抑えながらも剛性としなやかさを巧みに両立させられるのが特徴。

従来のPro 1Kシリーズ(White/Orange/Blue/Red)が最外層に1Kクロスを配置していたのに対し、本モデルではあえて内層(CORE)に組み込みました。これにより、表面素材に縛られない自由な剛性チューニングが可能となり、EIプロファイルは手元をやや柔らかく、中間から先端にかけて急峻な剛性の山を描く構造にできています。
切り返しでタメを作りやすく、ダウンスイングで溜めた力を先端まで一気に解放し、低スピンで伸びのあるライナー系弾道を生み出せるのが大きなメリットになりそうです。
この設計は、ツアープロやトップアマから寄せられた「元調子の安定感は欲しいが、捕まりの悪さやしなり戻りの遅さを改善してほしい」という要望を反映したものです。特にベンタスブラックなど硬派な元調子を使って右方向のミスが出やすいプレーヤーに対し、手元側の柔らかさと先端剛性を両立することで、強振しても暴れず、なおかつつかまりやすいフィーリングを実現させている点が注目したい点ですね。
また、超高弾性カーボンやトレカ®T1100Gといった高性能繊維も組み合わせ、局所的な剛性強化とねじれの抑制を行い、フェース向きの安定性を高めています。

外観は、従来のTENSEIと一緒で、バンド部分がブラックになっているだけです。
下記がスペックです。相変わらずかなりの充実度ですね。
Shaft Name | Flex | Length (mm) | Weight (g) | Tip O/D (mm) | Tip Length (mm) | Butt O/D (mm) | Torque (deg) | Kick Pt. |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Pro Black 1K Core 50 | R | 1168 | 51.5 | 8.6 | 75 | 15.15 | 5.3 | HIGH |
Pro Black 1K Core 50 | S | 1168 | 53 | 8.6 | 75 | 15.20 | 5.3 | HIGH |
Pro Black 1K Core 50 | X | 1168 | 55.5 | 8.6 | 75 | 15.25 | 5.2 | HIGH |
Pro Black 1K Core 50 | TX | 1168 | 56.5 | 8.6 | 75 | 15.30 | 5.1 | HIGH |
Pro Black 1K Core 60 | R | 1168 | 61.5 | 8.6 | 75 | 15.30 | 3.4 | HIGH |
Pro Black 1K Core 60 | S | 1168 | 63 | 8.6 | 75 | 15.35 | 3.4 | HIGH |
Pro Black 1K Core 60 | X | 1168 | 65.5 | 8.6 | 75 | 15.50 | 3.3 | HIGH |
Pro Black 1K Core 60 | TX | 1168 | 66.5 | 8.6 | 75 | 15.50 | 3.3 | HIGH |
Pro Black 1K Core 70 | S | 1168 | 73 | 8.6 | 75 | 15.35 | 2.7 | HIGH |
Pro Black 1K Core 70 | X | 1168 | 75.5 | 8.6 | 75 | 15.50 | 2.7 | HIGH |
Pro Black 1K Core 70 | TX | 1168 | 76.5 | 8.6 | 75 | 15.50 | 2.7 | HIGH |
Pro Black 1K Core 80 | S | 1168 | 82 | 8.6 | 75 | 15.35 | 2.6 | HIGH |
Pro Black 1K Core 80 | X | 1168 | 84 | 8.6 | 75 | 15.50 | 2.6 | HIGH |
Pro Black 1K Core 80 | TX | 1168 | 85 | 8.6 | 75 | 15.50 | 2.6 | HIGH |
TENSEI Pro Black 1K Coreの試打計測データ



試打計測の平均データが下記
2024年以降はドライバーはヘッドスピード44m/s〜46m/sの範囲内での計測に統一しています(1m/sぐらいは前後するのはご了承ください)。
指標 | 平均値 |
---|---|
クラブ速度 | 44.9 m/s |
ボール速度 | 65.8 m/s |
スマッシュファクター | 1.47 |
キャリー | 248.0 yd |
トータル | 274.0 yd |
打ち出し角 | 14.5° |
バックスピン | 2206 rpm |
最高到達点 | 31.4 yd |
スピン軸 | +2.7° |
曲がり幅 (Curve) | 4.0 yd右 |
キャリーサイド | 13.0 yd右 |
着地角 | 36.8° |
打ち出し方向 | 2.1°右 |
60g台とは思えない張り感で、安定感と低スピン性能が際立ちました。キャリーは平均248yd、トータルは274ydと飛距離性能は十分で、バックスピンは低スピン傾向ながら2200rpm前後に収まり理想的なレンジを維持。左右のバラつきも小さく、軽いフェード基調で再現性の高い弾道が揃う結果となりました。
飛距離性能と上がりやすさの分析

TENSEI Pro Black 1K Core 60Sは、試打データからもその設計意図が明確に表れていたかなと思います。
平均ヘッドスピード44.9m/sに対してボール初速は65.8m/s、スマッシュファクターは1.47と非常に高効率で、エネルギー伝達ロスの少ないインパクトが再現されていることは明白。キャリーは平均248.0yd、トータル274.0ydと、低スピン系の推進力を存分に発揮してくれました。飛距離はかなり出ます。
打ち出し角は14.5°で、最高到達点は31.4ydと「まずまず高弾道」に入る高さ。
思っていたよりくれましtくれましたが、高すぎて吹け上がることなく、しっかりとランを確保できていたのでバランスが良いです。

バックスピン量は平均2206rpmと、風の影響を受けにくい最適帯域に収まり、ライナー系の中でも狙ったキャリーを安定して再現しやすいという理想的な数値でした。特に、低スピンすぎて落ち際に失速する挙動が見られなかった点は嬉しい点かなと。
さらに注目すべきは、強振してもスピン量の増減が小さく、高さのばらつきも少ない点です。打点ブレ耐性もかなり高い印象です。
確かにアスリートが求める「飛距離・高さ・スピンコントロール」の三要素を高い水準で両立できています。強く振っても安定したスピン量を維持できるのは大きな強みになりそう。
弾道や球筋、方向性の分析

スピン軸は平均+2.7°で、やや右回転がかかる軽いフェード基調がベース。
打ち出し方向は平均で2.1°でちょっと右目ですね。そこから緩やかにフェードする弾道が多く見られました。着弾地点はセンターより13yd右に集まり、分布は右寄りながらも縦横のばらつきが小さい楕円形でまとまっています。

曲がり幅は平均4.0yd右で、極端なサイドスピンはほとんど発生してはいないものの、明らかなフェードバイアスなシャフトです。

また、軽いドローの弾道も一部出ましたが、スピン軸は−2〜−3°程度に収まっていて軽微です。
強振していってもドローはだいぶ抑えられるので、ハードヒッターには嬉しい特性かなと思います。
TENSEI Pro Black 1K Coreの振動数とフィーリング

TENSEI Pro Black 1K Core 60Sの実測振動数は265cpm(45.5インチ)で、同重量帯Sフレックスとしてはやや高めの数値です。
一般的なSフレックスの基準(255〜260cpm)を上回る硬さがあり、フィーリングとしてはSとXの中間に位置する印象ですね。


中間部の剛性計測では、手元側(450mm地点)が7.18kg、中間部(300mm地点)が6.91kgと、いずれもトップクラスに高い値を示しました。バチバチです。
特に中間地点では十分な張りがあるため、柔らかくしなる感覚は少なくて、切り返しからインパクト直前までの挙動の安定感が強く感じられます。一方で内層配置の1Kクロスがしなやかさを与え、しなり戻りが素早く、インパクトでの加速感が明確に得られます。
振り心地は全体に張りがありつつも、手元側は割としなり感があったのでタイミングを取りやすい「ブースト型元調子」という性格かなと感じています。
中〜先端の剛性が明らかに高いため、球筋は低スピン・直進性重視となり、左へのつかまり過ぎを抑えられます。とは言いつつも必要に応じて軽いドローも打ち分けられる操作性を持っている点は強みという感じ。振ってみるとベンタスブラックほど、棒みたいな感覚はありません。
静的な数値は硬めではあるのですが、振り心地は良いという不思議なシャフト。結果的にバランスがめちゃくちゃ良いので驚きました。
TENSEI Pro Black 1K Coreの良かった所・微妙な所
TENSEI Pro Black 1K Coreの性能評価チャート
評価としてはこんな感じ。飛距離は9.2と非常に高く、低スピン+高初速の設計でかなり優秀です。
一方で、つかまりは4.7と控えめで、左へのミスを嫌うプレーヤーには安心感がある反面、自然な捕まりを求める人には難易度高めというか合わないです。上がりやすさや寛容性は7点台半ばで安定しており、操作性(8.5)と方向安定性(8.9)の高さも光ります。
総合的に見ると、強振してもブレにくいシャフトを求めるハードヒッター向けの評価バランスとなりました。
3万円ぐらいで買えるのでコスパは良いです。
まとめ

低スピンかつ高初速の強いライナー系弾道を安定して再現できる、アスリート志向の元調子シャフトです。
特に飛距離性能と方向安定性は高評価で、強振しても暴れず、左へのミスを嫌う方にとっては大きな安心感があります。個人的に筆者はドローが強い傾向にあるのでかなり扱いやすかったです。
一方で、捕まりは控えめで、スイングテンポやヘッドスピードが遅めだと、従来のスペック選びだとキツいと思います。特にHS43m/s未満では高さとキャリーを十分に引き出しにくく、ロフト調整やスペック選び(50Sやロフトアップ)を検討する価値があります。まあ1スペックぐらいダウンさせてみるぐらいで丁度良さそうですね。
元調子ですが、しなり戻りの速さはあってブースト感が強いです。それでいて左へは行きづらい安心感も高いので、ハードヒッターで左は消したいけど叩いていきたいって人は要チェックなシャフトです。
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