今回取り上げるのは「フジクラ スピーダーNX ゴールド」。こちらを購入し、さっそく試打計測を行ったのでレビューします。
計測にはトラックマン4を使用(今まではGCクアッド使っていましたが、アプリなどソフトウェアの使いやすさから変更しました)

結論から言うと、めちゃくちゃ走ってくれるシャフトなので飛距離も出やすいです。
ただしコントロール性能は特別良いとは思いませんし、動きが強く出るシャフトがはっきりと好き!って言える人向きです。
メーカーが全方位型って言っていたので素直なタイプかと思いきや、シャフトが明確に仕事をするタイプで、叩いていく人よりもスインガーとの相性が良さそう。
正直筆者自身は好きではありませんが、スピーダーエボリューションの初代に近いフィーリングだったので、あれが好きだった人はハマると思いますし、走る感じのシャフトの方が一般的にはヒットする傾向はあるのである程度人気になりそうです。
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目次
スピーダーNX ゴールドの概要とデザイン

SPEEDER NX GOLDは、フジクラNXシリーズの第5弾。
最大のコンセプトは「しなりとトルクの黄金比率」。先代NX GREENをベースとしながら、全長にわたる新構造を搭載することで、より強く、より効率的なインパクトを追求しているとしています。

位置づけとしては、シリーズの“基準軸”となるモデルということで、VIOLETやBLACKといった特化型とは異なり、全方位型のバランス設計になることを狙ったそうです。
シリーズ内の比較で言えば、NX VIOLETはつかまりと高弾道、NX BLACKは低スピンと叩き感に特化したシャフトではありました。
それに対してNX GOLDは、あえてキックポイントを明示しない「中調子系フラットEI設計」を採用し、先・中・手元の剛性差を小さく抑えることで全体が一体となってしなる構造となっているとメーカーは謳っている。
ちなみに打ってみた感想としては、筆者はかなり先調子系だと感じました。メーカーが言うよりもハッキリと好みは分かれると思っていますけどね。

テクノロジー面では、全長にわたって「第2のバイアス層」を追加するDHX構造を採用。これは従来の45度積層だけでは得られなかった全体の“粘り”を生み、タメを自然に作りながらヘッドスピードを引き出す新設計です。
また、「VTC(Variable Torque Core)」によって、シャフトのセクションごとにトルク配分を制御し、捩れ剛性を最適化。これにより、暴れずにヘッドが走るという理想的な挙動を狙っています。

デザイン面では、モデル名にはあるとおりメタリックゴールドのカラーリングが採用されており、インパクトのある外観ながらも意外と落ち着きもある仕上がりになっていました。
下記がスペックです。
モデル | フレックス | 重量 (g) | トルク (°) | チップ径 (mm) | バット径 (mm) | 調子 |
---|---|---|---|---|---|---|
NX GOLD 40 | R2 | 44.0 | 5.8 | 8.50 | 15.05 | 中 |
NX GOLD 40 | S | 47.0 | 5.8 | 8.50 | 15.20 | 中 |
NX GOLD 50 | R | 50.5 | 4.6 | 8.50 | 15.10 | 中 |
NX GOLD 50 | S | 53.5 | 4.6 | 8.50 | 15.20 | 中 |
NX GOLD 50 | X | 55.0 | 4.6 | 8.50 | 15.25 | 中 |
NX GOLD 60 | S | 62.0 | 3.5 | 8.50 | 15.30 | 中 |
NX GOLD 60 | X | 63.5 | 3.5 | 8.50 | 15.35 | 中 |
NX GOLD 70 | S | 72.0 | 2.8 | 8.50 | 15.40 | 中 |
NX GOLD 70 | X | 73.5 | 2.8 | 8.50 | 15.45 | 中 |
スピーダーNX ゴールドの試打計測データ



試打計測の平均データが下記
2024年以降はドライバーはヘッドスピード44m/s〜46m/sの範囲内での計測に統一しています(1m/sぐらいは前後するのはご了承ください)。
指標 | 平均値 |
---|---|
クラブ速度 | 44.3 m/s |
ボール速度 | 65.3 m/s |
スマッシュファクター | 1.47 |
キャリー | 245.1 yd |
トータル | 272.2 yd |
打ち出し角 | 15.0° |
バックスピン | 2,099 rpm |
最高到達点 | 31.2 yd |
着地角 | 36.4° |
スピン軸 | -0.5° |
曲がり幅(Curve) | 6.7 yd 左 |
キャリーサイド | 7.4 yd 左 |
打ち出し方向 | 0.5° 左 |
上記が今回トラックマン4で計測を行った平均値になります。
パッと見はかなり良いですが、細かく内容を見ていきたいと思います。
飛距離性能と上がりやすさの分析

今回の試打ではクラブスピード平均44.3m/sに対して、キャリー平均245.1yd、トータル平均272.2ydを記録するという結果。
スマッシュファクターも1.47と安定しており、効率よくボール初速を出せていることがわかります。
つまり飛距離性能としては期待どおり!しっかりと飛んでくれるし、飛距離を求めてリシャフトするのは大いにありだと思います。
打ち出し角は平均15.0°と理想的なレンジに収まり、バックスピン量はおおよそ2,100rpm前後で推移。
けっこう先端寄りに動きが出るタイプなんですが、それにしてはバックスピン量が少ない傾向にはあります。その結果、球の前への伸びが明確に感じられる、いわゆる“強い中弾道”が安定して出ています。

最高到達点は31.2ydと適度な高さでやはり中弾道タイプです。
総じて、スピンと高さを抑えながら前に運べるタイプで、これは動きが出るシャフトとしてはかなり面白い弾道が作れますね。初速の再現性も優れており、飛距離の安定感という観点では高く評価できます。
弾道や球筋、方向性の分析

つかまりはかなり強いです。もう明確につかまってくれるので、シャフトでスライスを抑えたいと考えている人の方が相性は良い。
つまり多くのアマチュアゴルファーにとっては効果的なのかなとは思います。
一方で左へは行かせたくないなら選ぶメリットはそれほど無いのかなと。

先端に動きが思っているより出るので、その分ボールを押してはいけるけれど、つかまり方も極端でコントロールは正直しづらい印象です。

全体の分散を見ても、ここ最近の試打の中では特にバラつきが大きいですね。
うまくタイミングが合うとストレートドローで気持ちいい球が出ますが、油断すると大きく左に行ってしまうのが気がかり。
まあ筆者自身がドローヒッターという事も要因なので、単純に相性が悪いだけとも取れますので、持球が同様の人は選ばないほうが無難。
叩いていきたいという人も避けたほうが良さそう。
とはいえ、右方向へのミスは今回皆無でした。やはりスライサーの方だったり右のミスをケアしたいという狙いならバッチリはまりそうです。
スピーダーNX ゴールドの振動数とフィーリング

SPEEDER NX GOLD 60Sの実測振動数は259cpmと、中重量帯のSフレックスとしてはやや控えめな数値に収まっていました。ちょっと柔らかいですね。
これはいわゆる“振動数的には叩ける系”というよりは、“振り抜きやすさとタイミングの取りやすさ”を優先した設計思想が表れた結果といえるでしょう。


センターフレックスの実測では、300mm地点で5.07kgf、450mm地点で5.32kgfを計測。静的な計測では手元と中間部の剛性差が少ないです。
なのに、ワッグルしてみると中間から先にかなり動きが出るし、スイングしてもかなり先が走ります。というか全体的に柔らかめな気がします。
明らかにスインガー向けですね。自動でしなりが出てくれるような雰囲気です。
女子プロの使用率がなかなか高い様子ですが、プロとは言え男性よりは腕力が無いですし、こういった特性があるからウケているのかなと思います。
実際には、切り返しから粘り感が強く、それでいてインパクト付近では走って劇的に戻ってくる挙動のため、タイミングを合わせるのは少々むずい感じがある。左が怖いんですよね。
まあ、その分走り感が強いのでやはり飛距離には期待できるし、この動き方でも弾道が高くなりすぎない点が面白い部分なのかなと思います。
なんか事前情報ほど万能さは無いような気はしますけど、捕まりがめちゃくちゃ良くてしなり感も強いので、右へ行かせたくないならフィーリング的にも使いやすいでしょう。
スピーダーNX ゴールドの良かった所・微妙な所
スピーダーNX ゴールドの性能評価チャート
強力な走り感で初速も稼ぎやすいし、実際にキャリーとランのバランスも良くて飛距離性能はピカイチ。飛びについては期待してもらっていいです。
初速の安定性も高いので寛容性も比較的に高評価となりました。
一方でしなりが大きく、走り方も極端なので操作性や方向安定性などは期待していたほど良くは無いと考えています。
つかまり方は非常に良いので、右のミスをしっかり消したいという意図があるなら選んでもいいでしょう。
まとめ

個人的には走りすぎ感が否めません。全方位型のバランス設計と言っていた気がするけれど、NXシリーズの中では一番特徴がハッキリ出ていた気がします。
正直ぼくはコントロールしづらいと感じてしまいましたが、走り感を活かしつつも叩いていきたいという人はワンフレックス上げてみるのも面白いんじゃないですかね。
まあ、わかりやすく言うとスピーダーエボリューションの初代に近いイメージがあるので、あれが好きだった人は待望のモデルかもです。
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