タイトリスト T150 アイアン(2025)の試打計測を行ったのでレビューします。
計測にはトラックマン4を使用(今まではGCクアッド使っていましたが、アプリなどソフトウェアの使いやすさから変更しました)

結論から言うと、T150(2025年モデル)は、T100の構えやすさや操作性をベースに、飛距離性能や寛容性を自然に高めたプレーヤーズディスタンスアイアン。
前作よりもつかまりは控えで左へのミスは極小!高弾道でグリーンを狙える直進性の高さも際立ち、ラインを出していきたい中上級者にとって非常に扱いやすいモデルに仕上がっていました。
スピン性能も申し分なくて実戦向きのバランスが強み!という感じです。ただしミドルアイアン以上の打感がちょっと硬めなのは気がかり。
目次
タイトリスト T150 アイアン(2025)の概要とデザイン

タイトリストのTシリーズアイアンは、ツアープロとフィッターの現場から得た声をもとに、打感・操作性・距離性能のバランスを突き詰めて進化を続けてきました。
その中でもT150は、「T100の操作性はそのままに、もう少し飛距離と寛容性が欲しい」というプレーヤーからの要望に応える形で開発された、プレーヤーズディスタンスという新たな立ち位置を担うモデルです。
2025年モデルでは、さらに完成度を高めるために、構造や重心設計、フェースの設計細部まで抜本的な見直しが図られたとのこと。デザインはタイトリストらしく、良い意味であまり変化はなくてシンプルでクリーンな見た目が維持されています。

ヘッドは、軟鉄鍛造ボディにデュアルキャビティ構造を組み合わせた複合構造で、バックフェースには「マッスルチャンネル」と呼ばれる浅い溝を配置。
2023年モデルでは飛距離性能の向上を担っていたこの構造を、今作ではよりフェース寄りに再配置し、反発力と打感の最適バランスを再調整しています。これによって、効率良くフェースがたわみ、ボールスピードを高めながらも、鍛造ならではの芯のある打感をしっかり残しているのが特徴です。
#4〜#7番には高密度タングステン(D18)をヒール・トゥ両側に精密配置し、オフセンターヒット時の安定性と慣性モーメントを大幅に向上。特殊なろう付けによって軟鉄ボディと一体化することで、複合構造でありながら振動が濁らず、一体感のあるフィーリングが得られる設計です。

さらにフェース内部には「バリアブルフェース厚構造(VFT)」が採用されており、中心部を厚く・周辺部を薄くすることで、ミスヒット時でも安定した初速が得られるようになっています。

ソール形状はボーケイウェッジの開発チームと連携して設計された「可変バウンスソール」は、トレーリングエッジ側の抜けを改善し、ダフリや引っかかりを防ぐ構造に。抜け感が良くなり、インパクトが安定しやすくなっています。

T100と共通するシャープなヘッド形状を継承しつつ、トップブレードをわずかに厚めに、ブレード長もミリ単位で調整されています。これにより構えた際にわずかな安心感が加わり、スイートエリアの広がりとあいまって「難しすぎないツアーアイアン」という印象を与えます。

一方で、極端なオフセットや大型化は避けられていますし、あとはトウ側がかなり逃がした形状になったのは印象的で、まったく被って見えないようになりましたね。

2023年モデルからの進化点としては、マッスルチャンネルの再設計、VFTフェースの採用、そしてスピン性能を安定させる「プログレッシブグルーブ設計」の導入が挙げられます。番手ごとに最適な溝形状が施され、特に中〜ショートアイアンでのフライヤー対策に効果が期待できます。
全体として、T150(2025年モデル)は「T100の精密性+T200の飛距離性能」の中間を絶妙に突く存在に仕上がっています。
ヘッドスペックは下記
番手 | ロフト角 | ライ角 | オフセット | 長さ(インチ) | バウンス角 | ヘッド素材 | 構造 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
3番 | 19° | 60.0° | 3.0mm | 39.00 | 2° | 軟鉄鍛造(SUP-10フェース) | デュアルキャビティ構造+タングステン |
4番 | 22° | 61.0° | 2.8mm | 38.50 | 3° | 軟鉄鍛造(SUP-10フェース) | デュアルキャビティ構造+タングステン |
5番 | 25° | 62.0° | 2.6mm | 38.00 | 3° | 軟鉄鍛造(SUP-10フェース) | デュアルキャビティ構造+タングステン |
6番 | 28° | 62.5° | 2.4mm | 37.50 | 4° | 軟鉄鍛造(SUP-10フェース) | デュアルキャビティ構造+タングステン |
7番 | 32° | 63.0° | 2.3mm | 37.00 | 5° | 軟鉄鍛造(SUP-10フェース) | デュアルキャビティ構造+タングステン |
8番 | 36° | 63.5° | 2.1mm | 36.50 | 6° | 軟鉄鍛造 | デュアルキャビティ構造 |
9番 | 40° | 64.0° | 1.9mm | 36.00 | 7° | 軟鉄鍛造 | デュアルキャビティ構造 |
P(PW) | 44° | 64.0° | 1.7mm | 35.75 | 8° | 軟鉄鍛造 | デュアルキャビティ構造 |
タイトリスト T150 アイアン(2025)の試打計測データ



試打計測の平均データが下記
2024年以降はアイアンはヘッドスピード37m/s〜39m/sの範囲内での計測に統一しています(1m/sぐらいは前後するのはご了承ください)。
項目 | 平均値 |
---|---|
クラブスピード | 38.4 m/s |
ボールスピード | 51.2 m/s |
スマッシュファクター | 1.33 |
打ち出し角 | 20.6° |
スピン量 | 6,325 rpm |
キャリー | 157.4 yd |
トータル距離 | 163.2 yd |
最高到達点 | 34.0 yd |
落下角度 | 50.6° |
スピン軸 | ‑0.1°(ストレート傾向) |
曲がり幅 | -0.2 yd左 |
キャリーサイド | -4.8 yd左 |
打ち出し方向 | ‑1.7°(左) |
157yd前後の安定したキャリーに加え、34ydの高さと50°超の落下角度によって、グリーンでしっかり止まる高弾道が確認できます。
スピン量は6,300rpm台を維持しており、飛距離性能とスピンコントロールのバランスが取れているのも絶妙。
方向もほぼストレートで、スピン軸と横ブレともに±5yd以内に収まっている点にも注目です。
飛距離性能と上がりやすさの分析

T150(2025年モデル)の飛距離性能は、ロフト32°の7番アイアンとして非常に優秀で、平均キャリー157.4ydという安定したデータでした。
初速も平均51.2m/sとまずまず高く、VFT設計とフェース寄りに再配置されたマッスルチャンネル構造の効果がしっかり現れているのが伺える結果かなと思います。
7番アイアンでのスマッシュファクター1.33も高効率なエネルギー伝達を示しており、打点の芯を外しても飛距離のロスが最小限に抑えられました。
注目すべきは、飛距離を出しながらも高弾道を維持している点です。平均打ち出し角20.6°、最高到達点34.0yd、着弾角50.6°というデータは、弾道の高さ・落下角ともに優秀で、高速グリーンでもバチっと止めていける性能です。

また、スピン量も平均6,325rpmと安定しましたし、キャリーがブレにくく、縦距離のバラつきも少ないです。飛距離性能と弾道の高さの両立という観点で、プレーヤーズディスタンスの中でも非常に完成度の高い仕上がりであることは間違いなさそうです。
弾道や球筋、方向性の分析

トラックマン4による計測では、平均値でスピン軸の平均値が‑0.1°、曲がり幅は0.2yd左にとどまり、かなりの安定感かなという感じ。
筆者は通常ドロー系の球筋ですが、強いドローは出づらく、むしろストレートからわずかにフェード寄りの捕まり感だったかなと思います。

打ち出し方向は平均で‑1.7°と軽く左に出る傾向がありますが、その後のスピンが非常に安定しており、ターゲットラインに向かって真っすぐ戻るストレート~フェード系の球筋になります。
キャリーサイドは平均4.8yd左で、実際の左右ブレ幅も±10yd以内に収まっており、再現性にもめちゃくちゃ優れていましたね。

トウ側を逃がしたヘッド形状でしたが、左へのミスを嫌う上級者がプロでも安心して使うことができる挙動です。捕まったなーと感じても上記画像ぐらいのドローに納まってくれたのは嬉しい限り。
ドローヒッターにとっても左のミスを恐れず振り抜ける、信頼性の高い方向設計が光ります。反対にスライサーと言えるほど右へのミスが目立つ方は手を焼くかもしれません。
フィーリング

ミドル〜ロングアイアンでは打感がやや硬めに感じられ、軟鉄一体鍛造のモデルと比べると、インパクト時の柔らかさや“球持ち感”では明確な差が出ます。
この違いは、フェース裏のマッスルチャンネル構造や、フェース素材にSUP-10を採用している番手で顕著です。特に芯を外した場合は硬い手応えが残りやすい傾向があります。とはいえ、フィードバックは明瞭で、打点のズレが感覚的にわかりやすいという点では評価できるかなと思いますね。
一方でショートアイアンでは打感も比較的マイルドになり、8番以降の軟鉄単一素材のヘッドでは打音・振動ともに感触はかなり柔らかくて良いです。
全体としては「軟鉄鍛造らしい感触をある程度残しつつ、性能重視でやや硬質が残る」というような印象で、完全な一枚モノの軟鉄鍛造とは明確に質感が異なります。
しっとりとした打感を重視するゴルファーにとっては好みが分かれるポイントかもしれませんが、高性能なハイテクタイプに分類できるツアー系なので、それを踏まえると上々の出来ではないかなとは思います。まあ、個人的には好みではないですが(笑)
タイトリスト T150 アイアン(2025)の良かった所・微妙な所
性能評価チャート
飛距離はまあぼちぼちで、つかまりは控えめで左へのミスは消しやすい。方向の安定感と高弾道の再現性に優れるバランス型アイアン。競技志向の中上級者が安心してラインを出して狙えるのが評価できます。
まとめ

T150(2025年モデル)は、タイトリストのプレーヤーズディスタンスという立ち位置にふさわしく、飛距離・高さ・スピンのバランスがかなり良いです。
操作性や構えやすさはT100譲りでありながら、キャリーを稼げる高初速性能や、オフセンター時の安定性など、実戦向きの性能が随所に盛り込まれているし、性能にちゃんと反映できていて見事です。特に方向のブレ幅が小さくて、直進性が高い点は実戦向き。
一方で、つかまりは控えめですし、打感に関してもミドル番手以上ではやや硬さが感じられます。
セット全体で軟鉄一体鍛造の柔らかさを求める人にとっては好みが分かれるかもしれません。また、スライサーや捕まりを強く求める方にはやや扱いづらさも出てくるかなと思います。
それでも、中上級者が求める「ラインの出しやすさ」「狙った距離で止められる性能」「構えたときの安心感」を高次元で実現していることは間違いありません。ツアータイプでありつつも飛距離や寛容性にも配慮したい方にとって、十分検討に値する完成度を備えたモデルです。
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