今回取り上げるのはUSTマミヤ LIN-Q RED EX シャフト。こちらを購入し、さっそく試打計測を行ったのでレビューします。
計測にはトラックマン4を使用(今まではGCクアッド使っていましたが、アプリなどソフトウェアの使いやすさから変更しました)

結論から言うと、LIN-Q RED EX は「とにかく飛ばしたい」というゴルファーを素直に満足させてくれる弾き感ばつぐんのシャフトです。低スピン・高初速でキャリーとランの両方を効果的に稼げます。それでいてこの手の弾き感の強いタイプとしては直進性もそんなに悪くありません。
シリーズ特有ですが、全体のしっかり目のフィーリングは健在なのでタメが弱いスイングの方との相性は微妙ではあるものの、自分自身でシャフトに負荷をかけてしならせる事ができる方には大きな恩恵があるでしょう。
目次
LIN-Q RED EXの概要とデザイン

RED EX はシリーズ唯一の “中調子×走り系” とイメージしてもらうとわかりやすいと思います。弾くタイプの他シャフトですね。
シャフト全長に配置された東レ T1100G 繊維がインパクトエネルギーをダイレクトにヘッドへ伝え、先端に配した M40X が横振れを抑えてくれます。さらに Q・Ply Core 構造が 90°クロスに積層され、トー側・ヒール側の余計なねじれを最小化。ただし実際に振ると手元から中間にかけてしなやかに素早く戻り、先端は意外としっかりめ。
結果として「走るのにそんなに暴れない」という矛盾をうまく解消しています。
もうひとつ注目すべきは、RED EXの「懐の広さ」です。WHITE EXはしっかり叩ける人にとっては理想的な強弾道が出ますが、捕まり方は弱め。一方BLUE EXは直進性に特化していますが、全体的にパリッとしていて切り返し時に硬さを感じる人もいるのかなと思います。
RED EXは、走り感を感じられつつもしなりすぎて暴れる感じがない。叩きたいけど操作性は残したい、というニーズにフィットするシャフトです。
LIN-Q RED EXの試打計測データ



試打計測の平均データが下記
2024年以降はドライバーはヘッドスピード44m/s〜46m/sの範囲内での計測に統一しています(1m/sぐらいは前後するのはご了承ください)。
項目 | 数値(平均) |
---|---|
ヘッドスピード | 44.8 m/s |
ボールスピード | 66.4 m/s |
打ち出し角 | 15.1° |
打ち出し方向 | 1.4°(右) |
バックスピン | 2063 rpm |
スピン軸 | -2.0° |
最高到達点 | 32.7 yd |
キャリー | 252.6 yd |
トータル飛距離 | 278.8 yd |
曲がり幅 | 3.1 yd(左) |
左右ブレ | 3.1 yd(右) |
スマッシュファクター | 1.48 |
実測 10 球の平均値が上表。全体的に数値のばらつきが小さく、特にトータル飛距離は 280yd を軸にほぼ横一線になるほどでかなりポテンシャルが高いです。また、吹け上がりがほとんど無くて、前へ前へと伸びるライナー弾道であることががデータでも裏付けられていると思います。
注目すべきは、打ち出し方向の安定性とスピン軸の小ささ。打点ブレが発生してもフェース面がブレにくく、結果として軽いドローかストレートに収束してくれる印象です。
飛距離性能と上がりやすさの分析

平均でキャリー 252yd・トータル 279yd の数値は、当サイト基準で見ても明らかに飛んでいます。トップクラスのデータなので飛距離を求めるなら選択肢に是非とも入れてもらいたいですね。
打ち出し15°で高さが33ヤードは“高弾道”に分類できるので、キャリー不足を感じている人にも大きなメリットになるのかなと思います。
バックスピンは2,000rpm前後で明確に低スピンです。Ai SMOKEトリプルダイヤ自体が低スピン系なのもあるんですが、今回の計測上ではスピンがかなり抑えられていました。
メーカー的には強弾道で程よくスピンが入ると言っていますが、今回のデータを見てもそうですが全メーカー内で見れば低スピン寄りには感じます。あくまでもLIN-Qの中ではスピンの入りやすいタイプという位置づけ。


方向性面ではスピン軸 –2°、平均の打ち出し方向が 1° 右寄り。つまり軽いドローでセンターラインのやや右側に着弾する理想的なストレートドロー系。かなり気持ちいいです。
全体的には数発10ヤードから20ヤードの範囲で左へ行っていますが、先程言ったように多くはセンターラインからやや右目に集まっています。動きが出るタイプとしてはかなりまとまっているんじゃないでしょうか。
あと、ミスヒット時の縦距離差もわずか6ヤードほど。打点ブレが起きたときの飛距離ロスも小さめでした。


もうひとつ注目すべきは、ロースピンながら最高到達点がしっかり出ており、結果として「高弾道低スピン」がシンプルに打てるのが魅力。
LIN-Q RED EXの振動数・中間剛性・実際のフィーリング

今回の実測値は6Sのスペックですが、振動数が「267 cpm」。手元側の剛性はやはり比較的高い値でした。
中調子という表記ですが、手元側しっかり目で相対的に中間に動きが出るタイプと考えてもらうといいです。

また3点EI測定も行っています。

中央部の剛性(約5.26)に対して、先端の数値は4.92と緩やかに立ち上がっており、キック感というより「押し込める強さ」が感じられる設計でした。シャフトの走りすぎで球が吹けたり、引っかけたりすることもなく、叩いても暴れない挙動どおりの数値だと思います。
メーカーが謳う「ぶ厚いインパクト」「ぶっ叩ける安定感」は、今回の実測データと実際の打球結果からもしっかり裏付けられています。
267cpmのやや高めの振動数は強振時の安定感を確保しつつ、EIプロファイル上は中間に自然なしなりを残してタイミングを取りやすい設計。先端剛性もしっかりあるため、叩いても暴れず、トラックマンでもストレート弾道を安定して記録しました。数値・構造・フィーリングの三位一体で「叩けるのに暴れない」を体現しているといえるでしょう。
RED EXは「中調子」をベースに、先端にほんの少しだけ走り感を加えています。先端が走りすぎて球が暴れることはなく、それでいて必要な分だけヘッドをターンさせてくれる動きが感じられました。
いわば「コントロールされた走り感」と言える印象で、いわゆる“走り系”のような急激な動きはなく、振り抜きのテンポが非常に整いやすいです。

操作性については、「何もしなければストレート〜軽いドロー」という素直な挙動。繰り返しになりますが、極端に捕まりすぎることはないため、引っかけのミスは出にくい印象です。自然に打っていれば基本はストレート系。ライン出しのショットでは非常に強さを感じました。
LIN-Q RED EXの良かった所・微妙な所
性能評価チャート
飛距離と直進性に最も重きを置きつつ、捕まりと寛容性にも配慮したバランス型。でありながらも破格の飛距離性能を誇るシャフトです。弾きと押し込みの強さを両立しているのでかなり強力なモデルだし、個人的には非常に評価の高いモデル。
決してピーキーな挙動ではありませんが、ややハードなモデルなのはLIN-Qシリーズ特有なので、重量を落としてみるとちょうど良くなるかなと思います。筆者の場合は5Sぐらいで良さそうです。
まとめ

LIN-Q RED EX は特に “飛ばし” を追い求める方におすすめです。強振しても球がバラけませんし、安定性もそこまで損なわずに飛距離を出していけるのは魅力でしかないでしょう。
そもそもこういった手元硬めで先端側に動きの出るシャフトが苦手な筆者でも、かなり振りやすくて扱いやすかったので、多くの方にフィットできる万能性もあるためおすすめできる飛距離特化シャフトです。
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