タイトリスト T350 アイアン(2025)の試打計測を行ったのでレビューします。
計測にはトラックマン4を使用(今まではGCクアッド使っていましたが、アプリなどソフトウェアの使いやすさから変更しました)

タイトリスト T350アイアン(2025年モデル)は、飛距離と寛容性を両立しながらも、弾道の高さや過度につかまりすぎない直進性にも配慮された完成度の高い中空アイアンです。
見た目は良いのに難易度的にも簡単な部類だし、飛距離性能と安心感を求める人にとっては非常に扱いやすい。あと、T100やT150とのコンボでも自然に馴染む汎用性の高さも魅力といえます。
目次
タイトリスト T350 アイアン(2025)の概要とデザイン

タイトリスト T350 アイアン(2025年モデル)は、シリーズ中で最も高い寛容性を持ちながら、構造・素材・外観においてT100やT150みたいなプレーヤーズアイアンに迫る完成度を備えた中空アイアンという感じになっています。
初代T350(2023年)からのアップデートでは、フェース構造や打感の質、スピン性能、外観にいたるまで多角的に見直されており、ただ飛ぶだけの飛び系とは一線を画すモデルへと進化している。らしい。

中核をなすのは、フェース素材に採用された鍛造L型カップフェースです。このフェースは、ボールが当たるエリアごとに厚みを変えたマルチゾーン可変厚設計(VFT構造)となっており、フェース下部の打点でも高初速と高打ち出しを維持しやすくなっています。これにより、ロフトはストロング設定(7番で29度)でありつつも、弾道の高さやスピン性能を損なうことなく、大きなキャリーと高い落下角を両立しているという感じですね。

内部には、タイトリスト独自のMax Impact 2.0 テクノロジーが搭載されています。これは、フェース裏側に内蔵されたポリマー製のサポートコアで、インパクト時にフェース全体の反発力を均一化し、打点ブレによる飛距離ロスを最小限に抑える役割を担います。同時に、インパクト時の不要な振動を吸収するダンピング機構としても機能しており、中空構造特有の打音を軽減しながら、フェースに乗るような柔らかい打感を生み出すのが狙い。

ボディ構造は中空設計となっており、ヘッドのヒール側とトウ側には高比重のD18タングステンウェイトが配置されています。従来のタングステンよりも密度が高く、小さな体積でも十分な重量が確保できるため、重心の最適化と高慣性モーメント化の両立が可能となりました。このタングステンの装着には、航空宇宙グレードの高温ろう付け技術が用いられており、接合部のズレをなくすことで、打感の一体感と構造精度の向上を実現しています。

さらに、スピン性能の向上を目的として、番手ごとに異なるプログレッシブグルーブ設計(可変スコアライン)も採用されています。とくにショートアイアンでは、より深くて角度のあるスコアラインを備えており、ウェットなライやラフからでもスピンの落ち込みを最小限に抑えて、ボールをしっかりとグリーンに止められるように配慮されています。一方、ロング〜ミドルアイアンでは、スピン量を抑えつつも高打ち出しを得られるよう、グルーブの深さや間隔が最適化されています。

外観面でも大きな刷新が施されており、2023年モデルで採用されていた樹脂製のバッジ装飾を完全に廃止し、すべて金属素材で構成されたメタルバックデザインに変更されています。これにより、T100やT150、T200など他のTシリーズとのビジュアル的な親和性が高まり、コンボセットにした場合でも違和感のなく組み合わせることが可能になりました。


全体のヘッドサイズは大きめですが、トップラインの厚みやオフセット、ソール幅などはバランスよく設計されており、大型中空アイアンにありがちな“野暮ったさ”は抑えられていますね。

アドレス時には適度な安心感を与えつつも、狙うべきラインを明確にイメージできるシャープな輪郭が印象的です。また、フェースのリーディングエッジからソールの抜けまでのライン処理も丁寧で、芝の上からの抜けの良さを見た目からも感じさせてくれます。
ヘッドスペックは下記
番手 | ロフト角 (°) | ライ角 (°) | オフセット (mm) | クラブ長 (インチ) | バウンス角 (°) | 構造 | 素材 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
4番 | 20 | 61.5 | 4.9 | 39.00 | 2 | 鍛造フェース+中空キャビティ | 高強度ステンレス+タングステン |
5番 | 23 | 62.0 | 4.6 | 38.50 | 3 | 鍛造フェース+中空キャビティ | 高強度ステンレス+タングステン |
6番 | 26 | 62.5 | 4.1 | 38.00 | 4 | 鍛造フェース+中空キャビティ | 高強度ステンレス+タングステン |
7番 | 29 | 63.0 | 3.6 | 37.50 | 5 | 鍛造フェース+中空キャビティ | 高強度ステンレス+タングステン |
8番 | 33 | 63.5 | 3.1 | 37.00 | 6 | 鍛造フェース+中空キャビティ | 高強度ステンレス+タングステン |
9番 | 38 | 64.0 | 2.8 | 36.50 | 7 | 鍛造フェース+中空キャビティ | 高強度ステンレス+タングステン |
P(PW) | 43 | 64.0 | 2.6 | 36.00 | 8 | 鍛造フェース+中空キャビティ | 高強度ステンレス+タングステン |
W1(48°) | 48 | 64.0 | 2.4 | 35.75 | 9 | 鍛造フェース+中空キャビティ | 高強度ステンレス+タングステン |
W2(53°) | 53 | 64.0 | 2.2 | 35.50 | 10 | 鍛造フェース+中空キャビティ | 高強度ステンレス+タングステン |
タイトリスト T350 アイアン(2025)の試打計測データ



試打計測の平均データが下記
2024年以降はアイアンはヘッドスピード37m/s〜39m/sの範囲内での計測に統一しています(1m/sぐらいは前後するのはご了承ください)。
項目 | 平均値 |
---|---|
クラブスピード | 37.3 m/s |
ボールスピード | 51.7 m/s |
スマッシュファクター | 1.39 |
打ち出し角 | 18.9° |
スピン量 | 5,082 rpm |
キャリー | 166.4 yd |
トータル距離 | 176.3 yd |
最高到達点 | 31.3 yd |
落下角度 | 46.9° |
スピン軸 | 1.1°(軽いフェード傾向) |
曲がり幅 | 1.6 yd 右 |
キャリーサイド | 8.8 yd 左 |
打ち出し方向 | –3.5°(やや左) |
飛距離性能と上がりやすさの分析

7番で平均キャリー166.4ヤード、トータル176.3ヤードを記録し、このカテゴリーとしては非常に優れた飛距離性能を発揮したかなと思います。
特にスマッシュファクターは平均1.39とかなり優秀で、鍛造L型フェースとMax Impact 2.0による高初速設計がしっかりと効いていると感じました。

打ち出し角は18.9度、最高到達点は31.3ヤードで、ストロングロフトながら十分な高さが出せているのも特徴です。落下角は46.9度と、グリーンで止めるには十分な角度を確保できており、キャリーと高さのバランスに優れています。中空構造とタングステンによる低重心設計が、ミスヒット時の高さの維持にも貢献できています。
ただし、スピン量は平均5,082rpmとやや少なめで、スピン性能を最優先に考える人にとっては物足りなく感じるかもしれません。強弾道でキャリーはしっかり出る一方で、ラフからのショットではフライヤーのリスクがやや気になる印象も正直ありますね。
弾道や球筋、方向性の分析

つかまりすぎない軽いドローからストレートに近い安定した球筋が基本です。試打では平均スピン軸1.1度右、曲がり幅は1.6ヤード右となっており、軽いフェード傾向を含みつつも、実質的にはまっすぐに近い直進性の高い弾道だったかなと思います。スピン軸のばらつきも±3.5度以内に収まっており、許容範囲内にきれいに収束しています。
打ち出し方向の平均は–3.5度で、全体的に左に出やすい傾向はありましたが、全体的に過度につかまりすぎる心配は少なかったです。今回のTシリーズは他3モデルもあまりつかまりが強くないのでT350もめちゃくちゃ捕まってくれるわけではありませんが、シリーズ内ではつかまりが強いタイプではありました。
スライスがかなり強い人のお助けクラブになるほどではなかったので、どちらかというと左へのミスを警戒しつつも飛距離を伸ばしたい人の方が合いやすいでしょう。

左右のブレ幅は全体で±10ヤード以内に収まり、再現性の高さはイケています。特にスピン軸のばらつきが少なく、球の曲がりが極端に出にくい点は、高慣性モーメント設計とタングステン配置の効果によるものです。スライスや引っかけといった極端なミスを抑えたい人にとっては、安心して構えられるモデルといえます。

また、個別のショットではフェードとドローが混ざるケースも見られましたが、いずれも左右の曲がり幅は10ヤード以内に抑えられており、直線的な弾道でターゲットを狙っていける安定感が強く印象に残りました。
打ち出し方向とスピン軸のバランスが整っており、弾道が自然に戻ってくるような挙動を示すのもT350の大きな魅力かなと思います。
タイトリスト T350 アイアン(2025)のフィーリング

打感はひとことで言えば「弾きの強さ」がかなり際立つタイプです。
中空構造と鍛造L型フェースの組み合わせなんで、どうしてもこうなってくるのはしょうがないでしょう。インパクト直後にフェースの反発力をはっきりと感じる、ややシャープで張りのある打感が特徴的で、いかにも高初速設計のアイアンらしいフィードバックがあります。
一応、内部に配置されたMax Impact 2.0コアによって、インパクト時の振動は多少抑えられているのかもしれませんが気休め程度です。
とはいえ、フェース下部でのヒットでも手応えが極端に変わることはなかったり、打点位置による音や打感のバラつきも小さく抑えられているのは好印象です。
タイトリスト T350 アイアン(2025)の良かった所・微妙な所
タイトリスト T350 アイアン(2025)の性能評価チャート
ストロングロフト設計ながらも十分な高さと落下角を確保し、キャリーとトータルの飛距離バランスに優れていました。直進性の高い弾道が打ちやすく、打点ブレにも非常に強いため、縦横のズレを抑えた高い再現性が得られる点もやさしさを十分に感じられるポイントです。
一方でスピン量は抑えめで、特にラフからのアプローチではフライヤーのリスクが残る印象です。つかまりすぎることはありませんが、持ち球によってはやや左へのバイアスが気になる場面もあるかもしれないので一応気にしておいてください。
打感については強い弾き感が前面に出ており、好みは分かれる可能性があります。
タイトリスト T350 アイアン(2025)の試打評価まとめ

飛距離性能と寛容性を両立した中空構造のストロングロフトアイアンでありながら、弾道の高さや直進性(過度につかまり過ぎない点)にも配慮された完成度の高い設計が光るモデルでした。
高初速を生み出す鍛造L型フェースと、打点のズレに強いMax Impact 2.0構造、そして高慣性モーメント設計による直進安定性が特徴で、ミスヒット時でも一定の結果が得られる安心感も強く感じられて良かったです。
ただ、やはり中空構造特有の弾き感が強めに出るのと、スピン量はやや抑えめなのは頭に入れておいてください。
という感じでしたが、飛距離と高さのバランスを重視したい人や、やさしく扱えて構えやすい中空アイアンを探している人には、非常に相性の良い選択肢にはなるはずです。
また、T100やT150とのコンボセッティングにも、つかまり方も見た目も自然に馴染むため、ロングアイアン領域だけ350にするのもアリだと思います。
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