ブライソン・デシャンボーが、またしても常識を覆す新兵器を投入しました。
2025年LIVゴルフ・バージニア大会でお披露目されたのは、LA Golf社と共同開発したBAD V3-Wプロトタイプアイアンです。モデル名の「BAD」は、彼のフルネーム「Bryson Aldrich DeChambeau」のイニシャルから取られており、まさに彼のために生まれた究極のカスタムアイアンと言うことでしょう。
デシャンボーが使うBAD V3-Wプロトタイプアイアンのスペック
A closer view of Bryson’s new @LAGolf irons. Very similar look/feel to the Avoda ones with some slight modifications.
— Pro Golf Critic (@ProGolfCritic) June 6, 2025
pic.twitter.com/zGea8yJjYn
デシャンボーが長年こだわってきたワンレングス設計はお馴染みで5番から9番アイアンまで、すべてのクラブが37.5インチに統一され、全番手でライ角が67度に設定されています。まあ、ここは従来のデシャンボーのアイアンと変わりないです。
ロフト角の設定は結構独特で、5番アイアンが17.5度、6番が21.5度、7番が25.5度、8番が30度、9番が34度、ピッチングウェッジが39度。これだけの超ストロングロフト仕様は、現代のディスタンス系アイアンの中でも際立って強い設定ですね。
各番手のスイングウェイトはC3.5で統一されており、プロ仕様としては極端に軽めですが、これは超大型グリップや特殊な重量配分によって最適化された結果のようです。
シャフトには、LA Golf製のブライソン・シグネチャー「Bryson Series」6TX(重量124グラム)グラファイトシャフトが装着されています。デシャンボーが好む「板のような」硬い挙動を実現したこのシャフトは、彼の強烈なスイングスピードと独特のスイング理論に完璧にマッチしているとのこと。
革新的な設計思想とテクノロジー
このプロトタイプアイアンには、アイアン設計の常識を根底から覆す革新的な技術が盛り込まれています。
最も注目すべきは、アイアンのフェースにドライバーのような「バルジ&ロール」を採用している点です。バルジ&ロールとは、フェース面が横方向と縦方向にわずかに湾曲している形状のことで、従来はウッド系クラブにのみ使われてきたテクノロジーです。
この曲面フェースの採用により、ミスヒット時のサイドスピンが抑制され、ヒールやトウに当たった場合でも曲がり幅が大幅に減少するらしい。デシャンボーの持ち球である高いドローボールにおいて、左への過剰な曲がり(ひっかけ)を防ぐ効果が期待できるということみたいです。アイアンにこの技術を応用するという発想は、まさに革命的と言えるでしょうが、以前から使用しているAVODAアイアンから技術は継承している模様。
もう一つの画期的な特徴は、トウ部分に約80グラムもの大型タングステンウェイトを内蔵していることです。この重量配分により、トウ側に重心が移動し、インパクト時のフェースの過度な返りを抑制できるとのこと。デシャンボーの強力なインサイドアウト軌道でも極端な引っかけが出にくくなり、安心してフルスイングできる仕様となっています。
さらに、フェースの曲率にも工夫が凝らされています。フェース中央からヒール側にかけての曲率を、トウ側よりもフラット気味に設計することで、ヒールヒット時の弾道の安定化を図っています。デシャンボーのスイング特性上、ヒール寄りのミスが出やすいらしく、この部分での球筋の乱れを最小限に抑える設計は、まさに彼のために最適化されたものです。
開発の背景(LA Golf とデシャンボーの関係)
デシャンボーとLA Golf社の関係は、単なるメーカーと契約選手という枠を超え、同社の創設パートナーとして出資し、開発にも深く関わってきました。
2024年マスターズ直前には、Avoda Golf社と組んで3Dプリンタ製アイアンを開発し、実際にマスターズで6位タイ、全米オープンで優勝という素晴らしい成績を収めました。2024年末のアジアンツアーでは早くもLA Golf製の試作品をテストする姿が目撃され、「ジェフ・マイヤー最高デザイン責任者と1年がかりで開発に取り組んできた」ことを明かしています。
デシャンボーは開発過程について「すべてのプロセスに携わり、テストとリサーチを重ねてきた。他のどのメーカーもまだやっていない特別なクラブが完成した」とコメント。LA Golf社は既にシャフトやパター分野で革新的な製品を展開していますが、今回のアイアン開発は同社にとっても新たな挑戦となっているようです。
デシャンボーの使用状況について
2025年LIVゴルフ・バージニア大会で実戦初投入となったこのプロトタイプアイアンは、5番から9番アイアンに採用されました。ピッチングウェッジ以降は従来のAvoda試作モデルとPing社のGlide 4.0ウェッジ(46度、50度、56度、60度)を変わらず組み合わせて使用しています。
大会直前のテストでは、デシャンボーは新アイアンの性能に大きな手応えを感じたようで、ロバート・トレント・ジョーンズGCの練習場で行った最終テストでは、意図的にトウ寄りやヒール寄りに打ち分けて弾道をチェックている姿が目撃されています。通常であれば左に打ち出して右にスライスするはずのヒールヒットでも、狙い通りのドロー弾道が得られたことに、デシャンボー自身も満足している模様。
この革新的なアイアンの開発背景には、彼が直近のメジャー大会で痛感したアイアンショットの不安定さがあります。2025年マスターズでは、ドライバーの飛距離やショートゲームのスタッツは上位でしたが、アイアンのスコア貢献度(ストロークス・ゲインド:アプローチ)はフィールド51位と低調でした。
デシャンボーは当時を振り返り、「アイアンが最適化されていないせいで、構えた時にヒールに当たりそうな違和感があった。無理に引っ張って打とうとして左に飛び出してしまうことが多かった。もしアイアンがもう少しうまく打てていたら、結果は大きく違っていただろう」と語っています。
LAGOLFドライバーも市販化されたので、アイアンの一般発売にも期待したいところです。今後も新たな情報が入り次第随時更新していきます。
関連【試打評価】LAGOLF Face ID ドライバー|トラックマン4で飛距離計測
関連LAGolf Face IDドライバーがついに発売|デシャンボーとの共同開発!スイングスピードに最適化した独自フェースを搭載
関連【ついに発売】テーラーメイド「Spider 5K ZT」ゼロトルクパター登場!驚異的な安定性を追求
関連【限定】テーラーメイド Qi35 ゴールド&シルバー ドライバーが発売!特徴と取扱いショップ情報