フジクラの新作シャフト「26 VENTUS TR ブラック」を試打しました。計測にはいつものようにトラックマン4を使用しています。
結論から言うと、歴代VENTUSブラックでいちばんハードです。
振動数289cpmはぼくがこれまで計測してきたシャフトの中で最も高い数値で、しなりをほとんど感じないレベルのしっかり感でした。
そのかわり伝達効率は素晴らしく、スマッシュファクター1.50は当サイトの計測データベースで38機種中1位です。使うには覚悟が必要ですが、パワーに自身があって硬ければ硬い
ということでデータを見ながらレビューしていきたいと思います。
26 VENTUS TR ブラックの特徴

26 VENTUS TR ブラックは、フジクラのVENTUS TRシリーズ第2世代にあたる低弾道・超低スピンモデルで、国内では2026年6月4日に発売されました。
2022年に出たVENTUS TRブラックから4年ぶりの新作で、VENTUSブラック系統では4作目です。
公式スペックでは元調子。Rフレックスの設定はなく、ブラックなんで当然と言えば当然でうすがラインナップは最初からハードヒッター前提の構成です。
| モデル | フレックス | 重量 | トルク |
|---|---|---|---|
| BLACK 5 | S | 61.0g | 3.5 |
| BLACK 5 | X | 61.0g | 3.3 |
| BLACK 6 | S | 69.5g | 3.1 |
| BLACK 6 | X | 69.5g | 2.9 |
| BLACK 7 | S | 79.5g | 2.9 |
| BLACK 7 | X | 79.5g | 2.7 |
| BLACK 8 | X | 87.5g | 2.6 |
| BLACK 9(海外仕様) | X | 97.0g | 2.5 |
今回の試打スペックである6-Sは重量69.5g、トルク3.1です。
重量帯別の適正ヘッドスピードは、BLACK 5・6がHS45〜49、BLACK 7が47〜50、BLACK 8が50m/s以上が目安とされています。
メインテクノロジーは、初代からのVeloCoreを複数の高弾性素材の積層でアップグレードしたVeloCore Plusと、手元側最外層の開繊クロス材(SPREAD TOW FABRIC)です。
ブラックは開繊クロス材の配向を従来の斜めから90°配置に変更していて、手元部の捩れ剛性をさらに高めているとのこと。
剛性分布は旧作より一貫性のあるリニアベンドになったとされていて、メーカーとしては「硬いだけでなく滑らかにしなる」方向を狙ったようです。



デザインはマットブラックをベースに、TRの文字だけゴールドのアクセント。
手元側にはシルバー×カーボン柄のデザインが入っています。
試打条件と実測スペック

計測はいつものようにTrackMan4で行いました。

ヘッドはキャロウェイ Ai SMOKE トリプルダイヤモンド 9°でヘッドスピード45m/s前後に揃えて、ボールはタイトリスト プロV1xで統一しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 計測器 | TrackMan4 |
| ヘッド | キャロウェイ Ai SMOKE トリプルダイヤモンド 9° |
| 試打シャフト | フジクラ 26 VENTUS TR ブラック 6-S |
| 計測ボール | タイトリスト プロV1x |
| 公式重量 | 69.5g |
| 公式トルク | 3.1 |
| 振動数 | 289cpm |
| 中間剛性 | 6.82kg |


振動数は289cpmで、当サイトのドライバー用シャフト平均264.6cpmに対して+24cpm。計測上は39機種中1位で、ぼくがこれまで振動数を測ってきたシャフトの中で最も高い数値です。
あまりにも高い数値だったので計測器が壊れたのかと思ったほどで驚きましたね。


中間剛性も6.82kgで、平均5.21kgに対して+1.61kgの37機種中2位。これより硬い中間部を持つのはTENSEI Pro Black 1K Core(7.18kg)だけです。
兄弟モデルの26 VENTUS TRブルーが267cpm・5.55kgですから、同じ6Sでも振動数で22cpm、中間剛性で1.27kg上回っています。静的データの時点で、もはや別のフレックスと言っていいレベルです。
旧TRブラックが268cpm・5.03kg、24 VENTUS ブラックが266cpm・5.78kgでしたから、「Fujikura史上最もスティッフなプロファイル」というメーカーの説明どおりの計測結果になりました。
26 VENTUS TR ブラックの試打データ

平均データは下記です。
| 項目 | 平均値 |
|---|---|
| クラブスピード | 44.5m/s |
| ボールスピード | 66.8m/s |
| スマッシュファクター | 1.50 |
| 打ち出し角 | 13.3° |
| バックスピン量 | 1,865rpm |
| キャリー | 247.8yd |
| トータル | 278.7yd |
| 最高到達点 | 27.0yd |
| 落下角度 | 32.5° |
| スピン軸 | 2.3°左 |
| 曲がり幅 | 3.0yd左 |
| キャリーサイド | 3.1yd右 |
| 打ち出し方向 | 1.4°右 |
飛距離性能と初速

スマッシュファクターは1.50で、カテゴリー平均1.46に対して+0.04の38機種中1位でした。
1.50まで行くのは本当に稀なのですごい。


ボールスピードも66.8m/sで平均より速い33機種中9位。初速も上々です。
特性的にミート率は正直上がってくれると思いますし、当たり負けする感覚がなく、スイングパワーがそのままボールに伝わっている印象でした。


一方で、キャリーは247.8ydで平均より-7.7ydの39機種中31位。
トータルは278.7ydで平均278.4ydとほぼ同値の38機種中16位なので、効率の良さのわりにキャリーが伸びなかったという結果です。


要因は高さです。打ち出し角13.3°はカテゴリー平均15.4°より2°以上低く、最高到達点27.0ydも平均33.1ydを大きく下回る、データベースでも下限クラスのゾーンにいます。

バックスピン量も1,865rpmと平均2,127rpmより約260rpm少ないので、メーカーが狙った弾道にはなっていると思いますが、これでキャリーを伸ばすにはヘッドスピード45ぐらいだと出力不足かもです。

そのかわり落下角32.5°と浅く強い弾道でなので、トータルでは平均並みまで飛んでくれたという感じ。
普段からスピン過多で吹け上がってキャリーを損しているハードヒッターなら、むしろ適正弾道に近づいてキャリーが伸びるはずです。
偏差はトータル±2.5yd・キャリー±4.0yd・スピン±116rpmで、縦距離の再現性はかなり高かったです。
方向性とつかまり

ドローヒッターのぼくが打って、スピン軸2.3°左・曲がり幅3.0yd左でした。
サイト平均の曲がり幅が左4.7ydですから、つかまりを抑える設計がしっかり効いているのかなと。

データベースのつかまりでも38機種中25位というところで、左を抑えやすいのは明らかです。
こうなってくると叩きにいっても左が全然怖くないので、左へのミスを消したい人にとってはこれ以上ない安心感だと思います。

ヘッドスピードが足りない人や普段から右へのミスが多い人だと、右にしか行かないイメージになるので、そこは覚悟が必要です。つかまりも欲しいなら同シリーズのレッドが候補になります。

散布図を見ると、右に32yd飛んだミスも1球ありましたが、左サイドに大きく外れた球はゼロで、縦距離も270〜282ydのゾーンにきれいに揃っていました。方向性のまとまり自体は優秀だと思います。
この右に行ってるやつがミスとしては出やすいボールですかね。
振り感と剛性感

実際に振った感想は、しなりがほとんど感じられないほどの最高クラスのしっかり感です。
振動数289cpm・中間剛性6.82kgという静的な計測値が、そのまま体感でも感じられたという印象。素直に「硬いなー」と思えます。
メーカー公式にある紹介とかで適度がしなりが・・と言っていましたが、まじか?というのが正直な感想で、個人的にはガチガチやんとしか思えないです。
そのかわり、叩きにいってもシャフトが暴れる感覚は皆無です。コース上でもガンガン叩いていきたい人には嬉しいのかもしれません。
それから、体への負担も大きいようで、このドライバーを打ったあとはかなり体がきつかったです。節々が痛くれつらい。
18ホールこのシャフトが要求するスイングを続けるのは、体力のある人でないとしんどいかもしれません。
それでも伝達効率という面では素晴らしいシャフトなので、ヘッドスピードがあればあるほど間違いなく応えてくれるモデルだとは思います。
兄弟モデル・競合シャフトとの比較
兄弟モデルの26 VENTUS TR レッド・ブルー、当サイト内で近い性能の手元調子系シャフトと比較しました。
| モデル | ボールスピード | 打ち出し角 | スピン量 | キャリー | トータル | 最高到達点 | 曲がり幅 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 26 VENTUS TR ブラック | 66.8m/s | 13.3° | 1,865rpm | 247.8yd | 278.7yd | 27.0yd | 左3.0yd |
| 26 VENTUS TR レッド | 67.5m/s | 13.4° | 1,794rpm | 251.0yd | 281.9yd | 27.4yd | 左6.1yd |
| 26 VENTUS TR ブルー | 66.4m/s | 13.3° | 2,116rpm | 246.5yd | 275.9yd | 28.3yd | 右0.6yd |
| TENSEI Pro Black 1K Core | 65.8m/s | 14.5° | 2,206rpm | 248.0yd | 274.0yd | 31.4yd | 右4.0yd |
| LIN-Q PowerCore ホワイト | 66.4m/s | 13.5° | 2,430rpm | 248.4yd | 270.7yd | 30.9yd | 右0.5yd |
26 VENTUS TR レッドとの比較

レッドは同じ日に同条件で計測しました。スピンは1,794rpmとレッドの方がさらに少なく、初速も67.5m/sで上回ります。意外ですが捕まりも影響していそうです。
方向性はレッドが左6.1ydとしっかりつかまるのに対して、ブラックは左3.0yd。飛ばしたい・つかまえたいならレッド、左を消したいならブラックを選んでもらったらいいです。ここはメーカーが意図したとおりだと思います。
26 VENTUS TR ブルーとの比較

ブルーはスピン2,116rpmと3色では多めですが、それでも平均以下の低スピンです。
スピン軸0.2°・曲がり幅0.6ydのニュートラルストレート弾道が持ち味で、シャフト起因によるの方向バイアスがほぼありません。
振動数267cpm・中間剛性5.55kgで、硬さの絶対値はブラックがはっきり上。バランス型を探しているなら、やはりブルーの方が扱いやすさも上かなと思います。
他の手元調子系との比較

同じ元調子の低スピン系で一番近いのはTENSEI Pro Black 1K Coreです。
1K Coreは中間剛性7.18kgと、唯一26 TRブラックより硬い中間部を持ちますが、振動数は265cpmなので手元側の硬さはブラックが圧倒しています。
弾道は1K Coreの方が打ち出し14.5°・最高到達点31.4ydと高さを確保しやすく、スピン軸も右4.0ydとフェード側です。低スピンの徹底と左への安心感ならブラック、高さを残してフェードで安定させたいなら1K Coreという感じかなと。

LIN-Q PowerCore ホワイトも左のミスを消す方向の元調子ですが、スピンは2,430rpmとブラックより565rpm多く、最高到達点30.9ydと高さが出ています。
振動数270cpm・中間剛性5.78kgで、硬さの絶対値はブラックが上です。左を消したいけれど体力面に不安がある人には、ホワイトの方が扱いやすいと思います。まあ、こっちもだいぶハード系なんですけどね。
良かった点・気になった点
良かった点
- スマッシュファクター1.50でインパクト効率はカテゴリー1位
- スピン1,865rpmの超低スピンで、吹き上がりの悩みとは無縁になりそう
- 叩いても左への大きなミスが出ない
- 縦距離のばらつきが小さく安定感がある
気になった点
- 打ち出しが低く、キャリーは平均より下(39機種中31位)。HS45前後では持て余す
- 体への負担が大きく、18ホール振り切るには体力が要る
- しなりで振っていきたい人とは相性がよくないかも
総合評価

| 評価項目 | スコア | コメント |
|---|---|---|
| 飛距離 | 7.0 / 10 | トータルは平均並み。キャリーは平均より下 |
| 初速性能 | 8.5 / 10 | スマッシュ1.50はカテゴリー1位 |
| 弾道の高さ | 4.0 / 10 | 打ち出しも最高到達点も下限クラス |
| 低スピン性能 | 9.5 / 10 | 1,865rpmの超低スピン |
| 安定性 | 8.5 / 10 | 縦も横もまとまりが良い |
| つかまり | 5.0 / 10 | ややつかまり弱め。左のミスが出にくい |
| しなり感 | 3.0 / 10 | 歴代ブラックでいちばんハード |
伝達効率と低スピン性能は文句なしに優秀です。当たり負けがまったく起きないタイプなので、スイングの良し悪しとスピードがそのまま結果に反映されるタイプのシャフト。
ただそれ以上に、振った瞬間から最後まで「歴代ブラックでいちばんハード」という体感しかなかったです。
しなりで飛ばす要素がほとんど無いなので、HS45前後では飛距離面だけ見ればロスが出やすいかなと思います。
ただ、HS48以上あって吹け上がりと左のミスに悩んでいる人にとっては、信頼性は高いです。元調子らしさは全開で、性能としては超わかりやすいから、選びやすいモデルなのは間違いないです。
正直かなりハードスペックですが、振れる人にだけ応える尖り方も含めて、ブラックらしさの詰まったモデルでした。

ポジションマップは中央のいちばん下の方。
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