今回取り上げるのはフジクラ「24VENTUS ブラック」。こちらの試打計測を行ったのでレビューしていきます。
計測にはトラックマン4を使用(今まではGCクアッド使っていたのですがアプリなどソフトウェアの使いやすさから変更しました。)
2024年11月に国内モデルが発表された24VENTUSブラックですが、一足早くUSモデルを購入しました。勘違いされがちですが、US版も国内モデルもスペックに差はありません。
結論から言っておくと、24VENTUSブラックは歴代VENTUSシリーズの中でも最も硬いシャフトでした。かなり振り応えのあるモデルですが、エネルギーロスの少なさも最高クラスです。インパクト効率は非常に高く、硬さのあるシャフトを効果的にしならせる事ができるスイングなら飛距離と方向性の両方が手に入ります。
ロスがとにかく少なくて高効率ですが個人的には硬すぎて扱えないので常用はできません。使うにはパワーとスピード、そして覚悟が必要だと思います。
※初代VENTUSブラックが気に入っていたならとても気にいると思います。
24VENTUS ブラックの概要とデザイン
24VENTUSシリーズはVENTUS第三世代。ブラックは手元調子のモデルで、中間から先端の剛性を高めているタイプです。
第三世代の特徴はベロコアプラスというテクノロジー。
ようするにねじれを超抑えたシャフトというのがベンタス共通の特徴ですが、従来よりもさらにねじれにくくしました!というのが今作になります。
軸カラーはマット仕上げ。このマットブラックは正直かなりカッコいいです。
24VENTUSブルーと同様のフォントデザインです。
スペックは50g台から80g台まで用意されています。
50g〜70gまではSとXが選択でき、80g台はXのみです。
24VENTUSブラックの振動数と中間剛性
振動数と中間剛性を計測しました。あくまで静的な計測データですが、ひとつの目安になるかと思うので参考にしてもらえればと思います。
計測に使ったシャフトスペックは6Sです。
装着ヘッドはキャロウェイ パラダイムAi SMOKEトリプルダイヤ、長さは45.5インチというセッティングです。
振動数は266cpm。手元部分は一般的な60g台のカスタムシャフトの中ではちょっと硬いぐらいの数値でした。歴代ベンタスブラックと比較しても大差ありません。
次にセンターフレックス計で中間剛性を計測してみると5.78kg。かなり剛性が高いです。今まで計測してきたシャフトの中でも特に硬さがあります。
6sで比較した場合、初代ベンタスブラックが5.61kg。TRブラックが5.03kgだったので、シリーズ事の味付けは思ったよりも異なります。
24VENTUSは初代からの改良なのですが、計測データからも初代に近い雰囲気です。
さらにもう少し先端側も計測してみると5.78kg。
このポイントでもかなり硬いです。初代ベンタスブラックは5.67kgだったので中間から先端にかけて強化されているのは間違いなさそうです。
ちなみに振り心地ですが、めちゃくちゃ硬いです。硬さに関してはベンタスシリーズでも一番しなりが出づらいです。
ただ全体の剛性が非常に高いためインパクトでの当たり負けは抑えられます。しなりを生み出せるスイングとパワーがあるなら、ヘッドの性能を存分に引き出すことができるはず。
24VENTUS ブラック試打計測データ
24VENTUSブラックの試打計測の平均データが下記
2024年よりドライバーはヘッドスピード45m/sでの計測に統一しています(1m/sぐらいは前後するのはご了承ください)。
項目 | トラックマン平均値 |
---|---|
H/S (m/s) | 44.6 |
B/S (m/s) | 65.7 |
打ち出し角(度) | 14.8 |
打ち出し方向(度) | 0.7 |
バックスピン | 2453 |
スピン軸 | -5.6(左) |
最高到達点 | 33.2 |
降下角度(度) | 38.7 |
曲がり | -4(左) |
キャリー(yd) | 246.8 |
総距離(yd) | 268.6 |
スマッシュファクター | 1.47 |
当サイトでは平均トータル距離が260を超えれば飛ぶモデル。さらに270ヤード以上でれば文句なしに飛ぶという基準を設けています。
24VENTUSブラック装着時はトータルで平均270ヤードオーバーでした。結果的には素晴らしい数値です。
ボールスピードもかなり出ていました。66m/s超えをコンスタントに計測できているのは個人的にも大満足。
さらに際立っているデータはスマッシュファクターで、1.5を記録しました。平均でも1.48となっておりインパクト効率が非常に良い。
中間から先端の剛性の高さがここに活きているなと実感。エネルギーロスが小さいためヘッドの性能を引き出せているように感じます。
当たり負けのしにくさや効率の良さは歴代ブラックの中でもトップの性能。
捕まりに関してはかなり弱いです。ドローはしていますが、ぼく自身がかなりドローが強い傾向にあるのですが、そこを考慮すると左へのミスを軽減してくれる印象です。
捕まりすぎを抑えたい人にとってはやはり良い選択肢のひとつになるでしょう。ただちょっとでも緩んだら右にすっぽ抜けてしまうので気合いのいるシャフトであることも忘れてはいけないところ。
バックスピンについてはAi SMOKEがそこまで極端な低スピンヘッドではないのでそこまで少なくはなりませんでした。ただし同時に24VENTUSレッドも計測しているのですが、それよりも100回転ほど減少しているので減らせるシャフトなのは間違いなさそう。
最終的な飛距離のバラつきですが、誤差はかなり小さいです。シャフトの硬さは安定性に結びつくのは間違いないっぽいです。
良かった点と微妙な点
良かったところ
- エネルギーロスが少なくてとにかく高効率
- やや少なめなスピン量でキャリーと欄のバランスが良い
- 左を気にせず思い切り叩ける
微妙なところ
- 歴代ベンタスの中でも最硬!扱える人はさらに限られるシャフトになった
安定するし高効率で飛ばせるけど硬すぎてムズい
安定性は凄まじくある、そして当たり負けを抑えくれる力は「さすがベンタスブラック」の一言。
余計なしなりが生まれないほどの硬さはエネルギーロスを最小限にしてくれるため、インパクト効率は最高レベル。使い手によっては飛んで曲がらないを実現できるシャフトになる可能性は十分すぎるほどあります。
ですが今作はあまりにも硬い!ヘッドスピードが50m/sに満たないゴルファーでは硬すぎてしんどすぎます。
見てもらったように計測データ上は非常に良いデータとなっていますが、これをメインにして常用する事はぼくには不可能です。硬すぎるが故に逆に再現性がなくなると判断しました。
しなりが少ない事は物理的にエネルギーロスが少ないという事だから、単純にパワーを伝達しやすいわけです。それがこのシャフトの良さでもあるからこれはこれで良いと思います。個人的にはベンタスブラック史上で一番飛距離が出せるシャフトだと感じました。
ただし6S選ぶにしてもトラックマンで40後半のヘッドスピードが必要でしょう。当然50m/s以上あれば問題ないです。45m/s程度なら50g台が辛うじて満足に扱えるか?ぐらいのレベルです。18ホール継続して使えるかが肝心。
総合評価
非常に硬いシャフトです。ベンタスブラックはそもそもそういったシャフトですが、シリーズを通して最硬のモデル。静的な計測でもそうですが振ってみてもやはり硬い。
とはいえこういった尖ったシャフトは面白いし、使いこなせれば余分なしなりやねじれによる物理的エネルギーロスが減少させられるので飛距離が伸びる可能性は高いです。
やはりどういった人が選ぶのか?となると、ベンタスブラックの6Xや7Xなど超硬いシャフトのXフレックスを使っていた人が、軽量にしたいけど硬さは維持したいという場合の選択肢としてはおすすめ。あと初代ベンタスブラックがハマっていた人はさらなる安定性と飛距離アップができると思われるので乗り換えもありです。
それから、ぼくレベルでは硬すぎて操作するどころではないため操作性についてはこういった評価となりましたが、ヘッドスピード50m/sを軽く出せる人であれば評価は高くなってくるかなとは思います。
まあ、こういった超ハードなシャフトが好きな方は多いと思うので、我こそはという方はチャレンジしてみてください。
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