今回取り上げるのは「コブラ DS-ADAPT LS フェアウェイウッド」。こちらの試打計測を行ったのでレビューします。
計測にはトラックマン4を使用(今まではGCクアッド使っていましたが、アプリなどソフトウェアの使いやすさから変更しました)

結論から言うと、コブラ DS-ADAPT LS フェアウェイウッドは、飛距離性能と直進性を極限まで突き詰めた、本格はモデルです。ドライバー顔負けの初速とスピンの少なさによって、キャリーとランの両方で距離を稼げる「強弾道FW」に仕上がっていました。ヘッドはやや小ぶりで構えやすく、抜けも非常にスムーズ。左右のバラつきが少ない高い直進性が大きな武器です。
一方で、浅重心による球の上がりにくさや打点ブレへのシビアさもあるため、ある程度のスイング精度は求められます。
飛距離・操作性・強弾道を武器にしたい中〜上級者ゴルファーにとっては理想的な性能です。
目次
コブラ DS-ADAPT LS フェアウェイウッドの概要とデザイン



ヘッド体積は最近の3Wの中で174ccと比較的コンパクト目の設計。顔つきは洋梨形状で、コブラのツアー系フェアウェイウッドの流れを汲んでいるのがわかります。

構えた印象はストレートフェースで非常にスクエア感が強く、ターゲットに対してセットアップしやすい形状ですね。
素材構成は、軽量・高強度の8-1-1チタン製フェース&ボディにカーボンクラウンを融合したマルチマテリアル構造。
これにより重心設計の自由度が高まり、低・浅重心+前方重心化による初速向上・低スピン設計を実現しています。まるでドライバーのような構成になっているのが特徴的。

フェース面には、AIによる最適肉厚設計が施された「H.O.T.フェースインサート」を搭載。インパクトエリアのトゥ〜ヒール方向にわたり最適なたわみ分布を実現しており、ミスヒット時の初速低下を最小限に抑えます。また、ソール内部には再設計されたPWR-BRIDGEウェイトバーを配置。これは湾曲した内部ウェイト構造で、フェース寄りに低く重心を設定し、より強く、伸びのあるボール初速を引き出す設計です。

さらに、ヒール・トウ外側には13gの六角形タングステンウェイトを配置し、寛容性と直進安定性を確保。
後方には3gのウェイトがあり、それぞれ移動させることで弾道調整が可能です。

可変ホーゼルにはコブラ独自の「FutureFit33」を採用し、ロフト角とライ角をそれぞれ個別に調整可能。33通りもの細かなチューニングが可能で、アドレス時にはSMARTPAD®により常にスクエアなフェース向きを維持できるのも特長です。
この3番ウッドは14.5°なので、最大ロフトを12.5°まで立てられるのも面白いです。
操作性と低スピン飛距離の両立を極限まで突き詰めた構造と言えるでしょう。
コブラ DS-ADAPT LS フェアウェイウッド試打計測データ




コブラ DS-ADAPT LS フェアウェイウッドの試打計測の平均データが下記
2024年よりフェアウェイウッドはヘッドスピード43m/s~44m/sでの計測に統一しています(1m/sぐらいは前後するのはご了承ください)。
項目 | 数値 |
---|---|
ヘッドスピード | 42.8 m/s |
ボールスピード | 63.0 m/s |
打ち出し角 | 16.1° |
打ち出し方向 | -0.7°(左) |
バックスピン | 2225 rpm |
スピン軸 | -1.7°(左) |
最高到達点 | 32.3 yd |
キャリー | 237.6 yd |
トータル飛距離 | 261.9 yd |
曲がり幅 | 2.3 yd 左 |
左右ブレ | 5.2 yd 左 |
スマッシュF | 1.47 |
飛距離と高さの分析

コブラ DS-ADAPT LS フェアウェイウッドは、「飛ばせるフェアウェイウッド」という評価にふさわしい性能を備えています。
実測値でキャリー237.6yd/トータル261.9ydは、筆者のフェアウェイウッド使用時のヘッドスピード(約43m/s)ではかなり優秀な数値。
最大の要因はスピン量の少なさ(2225rpm)と高いボール初速(63.0m/s)。低スピンにより吹き上がりを抑えつつ、前にグングン伸びていくライナー弾道でランもしっかり出ます。打ち出し角は16.1°で最適帯域、スマッシュファクターも1.47と高く、ミート効率の高さも飛距離に貢献しています。

ただし、この飛距離性能の裏には「ある程度芯に当てられる」という前提条件があります。
重心がかなり浅めであることで打点のズレに対して寛容とは言えない部分もあるため、芯を外すとキャリーが急激に落ちるリスクも否定できません。
特にヘッドスピードが40m/s未満のゴルファーでは、球が上がり切らず十分なキャリーが得られない可能性もあります。
高さとしては最高到達点32.3ydの中高弾道で、フェアウェイからの高弾道を求める人にはやや物足りなさがあるかもしれません。あと、スピンを入れたくてもあまり高スピンにはならないので、3番ウッドでもしっかり止めていきたいという人にはきついかも。
方向性と弾道傾向の分析

方向性の安定感という観点でも、DS-ADAPT LSは極めて優秀なクラブです。
打ち出し方向は平均で-0.7°(わずかに左)、スピン軸は-1.7°と、ほぼストレートに近いドロー系の弾道を示しています。

左右ブレは平均5.2ヤード左で、一発だけ20ヤード近く左にいってしまいましたが、 おおよそ約10ヤード以内に収まり、弾道の散らばりに関してはこの手のタイプのフェアウェイウッドにしては抑えられているいます。
ただし、許容性という意味ではややシビアで、フェース下部や極端なヒールヒットでは弾道が不安定になることも。
つかまりは筆者がそもそもドローヒッターであることを踏まえるとニュートラルなタイプだと判断できます。
フィーリング
- 打感: ソリッドでやや重めな打感。フェースに乗るというより弾きの強さが前に出るタイプで、芯を食ったときの手応えは非常に明確。
- 打音: チタン系ながら打音は抑えめで、やや低めの音質。インパクトに集中しやすく、耳障りな高音ではない。
- 構えやすさ: ストレートフェースでスクエア感が強く、ターゲットに対して正確に合わせやすい。座りも良好。
- 抜け感: ソール設計が優れており、芝上でもスムーズに抜けてくれる感触あり。
- 操作性: フェースの返りすぎがなく、フェード・ドローともにコントロールしやすい。
良かった点と微妙な点
良かったところ
- 初速と低スピンによる圧倒的な飛距離性能
- 左右ブレの少ない直進性
- ソールの抜けの良さ
- 豊富な調整機能(ホーゼル33通り+ウェイト)
- 弾道のコントロール性と風に強い球筋
微妙なところ
- 浅重心で球が浮きづらく、ミスにややシビア
- ヘッドが小さめで安心感はやや控えめ
性能評価チャート
飛距離性能は2025年モデル随一ともいえる水準で、直進性・操作性も高く、フェアウェイウッドでここまで狙っていけるのは大きな強み。
つかまりは控えめなのでスライサーには難しさがあるが、フェードもドローも打ち分けられる柔軟性を備えているあたりは上級者でも満足できるはず。特に低スピン強弾道を求めるプレーヤーや、ドライバー代わりにフェアウェイウッドを使いたいと考えている人にはベストマッチな1本。
まとめ

コブラ DS-ADAPT LS フェアウェイウッドは、ドライバー級の飛距離性能と直進性を両立した、競技志向プレーヤー向けのハイパフォーマンスモデルです。
スピン量は非常に抑えられており、風に強く、弾道もブレにくい。ティーショット用としてはもちろん、セカンドからの直打ちでも強弾道でピンを狙える完成度の高さが魅力です。
一方で、浅重心+低スピン設計により、スピンで球を止めたい・上げたいプレーヤーには少々シビアな印象もあるため、最低限のミート率とスイング安定性は求められます。
「飛ばせるFW」を求める中〜上級者、特に左を嫌うプレーヤーや低スピン系が好みの方には最適。反対にやさしさや高さを求める場合は、DS-ADAPT XやMAXの方が扱いやすい選択肢となるでしょう。
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