三菱ケミカルの新作シャフト「ディアマナ スティンガー」を試打しました。計測にはいつものようにトラックマン4を使用しています。
結論から言うと、しなやかで振りやすいのに左に行かない、かなり貴重なタイプの中調子です。
切り返しのタイミングが抜群にとりやすい振り感なのに、ドローヒッターのぼくが打っても全体的にフェード傾向。左への大きなミスはほぼ出ませんでした。
ということでデータを見ながらレビューしていきたいと思います。
ディアマナ スティンガーの特徴

ディアマナ スティンガーは、2004年に開発されたプロトタイプ「スティンガー」を現代向けにアップデートして復活させたドライバー用シャフトで、国内では2026年4月10日に発売されました。
元祖スティンガーは当時ツアープロ向けだけに提供されていた幻のモデルで、それが20年以上の時を経て市販版として帰ってきた。という経緯のようです。
公式スペックでは中調子に分類されており、ラインナップは50g台から70g台までの3重量帯が用意されています。さすがに原型がプロトという事だからか、三菱として珍しくスペックの種類は少なめですね。
| モデル | フレックス | 重量 | トルク |
|---|---|---|---|
| Stinger 53 | S | 58.0g | 4.2 |
| Stinger 53 | X | 59.5g | 4.2 |
| Stinger 63 | S | 66.0g | 3.3 |
| Stinger 63 | X | 68.5g | 3.2 |
| Stinger 63 | XX | 69.5g | 3.2 |
| Stinger 73 | S | 76.0g | 2.8 |
| Stinger 73 | X | 77.0g | 2.8 |
| Stinger 73 | XX | 78.0g | 2.8 |
ちなみに今回の試打スペックである63 Sは重量66.0g、トルク3.3です。
重量帯別の適正ヘッドスピードは米国公式サイトに記載があり、Stinger 53がHS85〜95mph(約38〜42m/s)、63が91〜105mph(約41〜47m/s)という感じで目安が表記とされていました。
メインテクノロジーは、46インチのフルレングスに採用されたボロンファイバーです。
これはお馴染みですけれど、航空宇宙用途にも使われる強靭な繊維で、インパクトゾーンで球を強く押し込み、分厚いインパクトをもたらすとのこと。
同じく全長には、軽量・高弾性のピッチ系炭素繊維DIALEAD(ダイアリード)も使われています。


デザインは黒ベースの光沢仕上げで、光の当たり方によっては茶色〜ブロンズがかって見えます。
シルバーのDiamanaロゴに筆記体のStingerロゴの組み合わせで、手元側にはディアマナでおなじみの花柄が入っています。
試打条件と実測スペック

計測はいつものようにTrackMan4で行いました。

ヘッドはキャロウェイ Ai SMOKE トリプルダイヤモンド 9°でヘッドスピード45m/s前後に揃えて、ボールはタイトリスト プロV1xで統一しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 計測器 | TrackMan4 |
| ヘッド | キャロウェイ Ai SMOKE トリプルダイヤモンド 9° |
| 試打シャフト | 三菱ケミカル ディアマナ スティンガー 63 S |
| 計測ボール | タイトリスト プロV1x |
| 公式重量 | 66.0g |
| 公式トルク | 3.3 |
| 振動数 | 259cpm |
| 中間剛性 | 5.12kg |


振動数は259cpmで、当サイトのドライバー用シャフト平均264cpmに対して-5cpm。39機種中30位なので、静的データの時点で硬すぎない部類です。


中間剛性は5.12kgで、平均5.20kgに対して-0.08kgの38機種中19位。こちらはど真ん中の平均的な数値でした。
つかまりを抑えたシャフトはガチガチのハード系が多いので、この「平均的な硬さ」というのがスティンガーの面白いところです。
ディアマナ スティンガーの試打データ
平均データは下記です。
| 項目 | 平均値 |
|---|---|
| クラブスピード | 44.9m/s |
| ボールスピード | 67.0m/s |
| スマッシュファクター | 1.49 |
| 打ち出し角 | 14.0° |
| バックスピン量 | 2,318rpm |
| キャリー | 252.4yd |
| トータル | 274.5yd |
| 最高到達点 | 32.0yd |
| 落下角度 | 37.3° |
| スピン軸 | 3.6°右 |
| 曲がり幅 | 6.1yd右 |
| キャリーサイド | 11.2yd右 |
| 打ち出し方向 | 1.1°右 |
飛距離性能と初速

スマッシュファクターは1.49で、カテゴリー平均1.46に対して+0.03の39機種中5位でした。
シャフト全長にボロンが入っている効果なのか、当たり負けする感覚がありません。
スイングパワーがそのままボールに伝わっている印象。効率はけっこう良かったです。

ボールスピードも67.0m/sで平均66.4m/sを上回る35機種中9位。初速も優秀な部類です。




一方で、キャリーは252.4ydで平均より-3.1ydの40機種中18位。
トータルも274.5ydで平均より-3.5ydの39機種中25位。
効率の良さのわりにキャリーが伸びなかったという結果です。


要因はスピンと打ち出しです。バックスピン量2,318rpmは平均2,141rpmより+177rpm多く、打ち出し角14.0°も平均15.3°より1.3°低め。
スピンがそれなりに入ってくれるので、凄い強弾道という事はなかったですが、安定感の飛び方をしてくれていました。


最高到達点32.0ydの中弾道、ラインは出しやすいし全体的にコントロール性能が高いシャフトだなと。
偏差はトータル±2.5yd・キャリー±3.0yd・スピン±180rpmでした。
縦距離の再現性はかなり高かったです。
方向性とつかまり

スピン軸3.6°右・曲がり幅6.1yd右でした。もろにフェードバイアスで、センターラインよりもほぼ右に集中しました。
サイト平均の曲がり幅が左4.3ydですし、つかまりを抑える設計がしっかり効いているのかなと。

データベースのつかまりは39機種中36位で、着弾は平均より12.4yd右でした。
左へのミスを抑えやすいのは明らかです。
しなり戻りは速くなく、まったりと戻ってくる感覚で、インパクト付近で急激にフェースがターンする動きが起きづらいシャフトです。
ちなみにぼくは基本的にドローを持ち球としていますが、それでもこの結果。
こうなってくると叩きにいっても左が全然怖くないので、左へのミスを消したい人にとってはこれ以上ない安心感だと思います。

散布図を見ると、右に30yd飛んだミスも1球ありましたが、左サイドに大きく外れた球はゼロで、縦距離も270〜280ydのゾーンにきれいに揃っていました。方向性のまとまり自体は優秀だと思います。
普段から右へのミスが多い人だと、右にしか行かないイメージになるので、そこは覚悟が必要です。というかおすすめはしません。
振り感と剛性感

思っていたよりも遥かにしなやかです。
手元側のしなり方が実に素直で、切り返しでのタイミングが抜群にとりやすい。
中間部にもそれほど硬さを感じないので、全体のどこかが突っ張るような感覚はなかったです。
それでいて、インパクトでの当たり負けは感じません。しなやかさと当たり負けのなさが両立しているのは、全長ボロンのおかげなのかなと思います。
あまり硬いシャフトは好きではないけれど左へのミスは減らしたい、という人にはうってつけの振り感です。
兄弟モデル・競合シャフトとの比較
同メーカーのディアマナBBに加えて、当サイト内で近い性能のフェードバイアス系シャフトと比較しました。
| モデル | ボールスピード | 打ち出し角 | スピン量 | キャリー | トータル | 最高到達点 | 曲がり幅 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ディアマナ スティンガー | 67.0m/s | 14.0° | 2,318rpm | 252.4yd | 274.5yd | 32.0yd | 右6.1yd |
| ディアマナBB | 64.4m/s | 16.1° | 1,993rpm | 251.3yd | 275.2yd | − | 左23.0yd |
| TENSEI Pro Black 1K Core | 65.8m/s | 14.5° | 2,206rpm | 248.0yd | 274.0yd | 31.4yd | 右4.0yd |
| 26 VENTUS TR ブルー | 66.4m/s | 13.3° | 2,116rpm | 246.5yd | 275.9yd | 28.3yd | 右0.6yd |
ディアマナBBとの比較

ディアマナBBは張り感の強い弾きタイプで、曲がり幅は左23.0ydとしっかりつかまります。
同じディアマナでも球筋は真逆なので、つかまえて飛ばしたいならBB、左を消したいならスティンガーを選んでもらったらいいです。
振り感も別物で、先端まで硬さを感じるBBに対して、スティンガーは全体が素直に動きます。タイミングの取りやすさはスティンガーが上だと思います。
TENSEI Pro Black 1K Coreとの比較

同じ三菱ケミカルで、フェードバイアスという意味で一番近いのはTENSEI Pro Black 1K Coreです。
弾道データは打ち出し14.5°・スピン2,206rpmとスティンガーによく似ていますが、1K Coreは元調子で中間剛性7.18kg。当サイトの計測で最も硬い中間剛性のシャフトです。
スティンガーの5.12kgとは剛性感がまるで別物なので、思いっきり叩きにいきたいなら1K Core、しなりを感じながら打ちたいならスティンガーがおすすめ。
26 VENTUS TR ブルーとの比較

26 VENTUS TR ブルーは、スピン軸0.2°・曲がり幅0.6ydのニュートラルストレート弾道が持ち味で、シャフト起因による方向バイアスがほぼありません。
振動数267cpm・中間剛性5.55kgで、硬さの絶対値はスティンガーより一段上です。しなりの少なさと剛性で安定させるタイプですね。
バイアスゼロの安定感が欲しいならTRブルー、左ミスへの保険としなり感が欲しいならスティンガーかなと思います。
良かった点・気になった点
良かった点
- しなやかで切り返しのタイミングが抜群にとりやすい
- スマッシュファクター1.49でインパクト効率は39機種中5位
- 叩いても左への大きなミスが出ない
- 縦距離のばらつきが小さく安定感がある
気になった点
- スライサーだと右へのミスが増える可能性がある
総合評価

| 評価項目 | スコア | コメント |
|---|---|---|
| 飛距離 | 7.5 / 10 | 初速は出るがキャリーは平均より下 |
| 初速性能 | 8.5 / 10 | スマッシュ1.49は39機種中5位 |
| 弾道の高さ | 7.0 / 10 | 打ち出し低めの中弾道だがスピンも入るのでそこそこ上がる |
| 低スピン性能 | 6.5 / 10 | 2,318rpmと平均より177rpm多め |
| 安定性 | 9.0 / 10 | 縦距離の再現性が高い |
| つかまり | 4.0 / 10 | はっきり控えめ。左のミスが出にくい |
| しなり感 | 8.5 / 10 | しなやかで切り返しが取りやすい |
インパクト効率と方向性は文句なしに優秀です。
ただそれ以上に、しなやかさと左へのミスの出にくさが両立しているのが、このシャフトのいちばんの良さだと思います。
つかまりを抑えたシャフトはハードスペックなものが多い中で、スティンガーは静的データも平均的な硬さで、切り返しのタイミングも取りやすい。
左を抑えつつここまで振りやすいシャフトは貴重です。操作感も非常に良かった。
飛距離を猛烈に伸ばすタイプではないですが、あまり硬いシャフトは好きではないけれど左へのミスを減らしたい、操作性も重視したいという人にはうってつけだと思います。

ポジションマップは右のちょっと上ぐらいです。
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