今回取り上げるのはTRPXファビュラス Ni-Ti 40 Flash。こちらを購入し、さっそく試打計測を行ったのでレビューします。
計測にはトラックマン4を使用(今まではGCクアッド使っていましたが、アプリなどソフトウェアの使いやすさから変更しました)

このTRPXファビュラス Ni-Ti 40 Flashは、「軽くしても飛距離も安定感も妥協したくない」というゴルファーのわがままを、驚くほど高い完成度で叶えてくれるシャフトです。
40g台とは思えないほどの剛性感と叩けるフィーリングがありながら、振り抜きは軽快。
とくにドローヒッターの筆者にとっては、左を気にせず思い切って振れる安心感と、シャープな操作性が両立している点が非常に印象的でした。
飛距離性能は文句なし、方向性も安定。軽量帯シャフトの“新しい基準”になる可能性すら感じさせられました。
その代わり値段は超高いので万人におすすめ!というのは言いづらいですが、それでも高性能シャフトでぶっ飛ばしたいという方はトライしてみて下さい。
目次
TRPXファビュラス Ni-Ti 40 Flashの概要とデザイン

TRPX Fabulous Ni-Ti 40 Flashは、TRPXが誇る最新技術とトッププロの感性が融合した、超軽量・高剛性シャフトのフラッグシップモデルです。
開発にあたっては、シニアツアーでも活躍する片山晋呉プロが全面的に監修。
「軽くてしっかり叩けるシャフトが欲しい」という片山プロのリクエストをもとに、従来の軽量シャフトの常識を覆す新たなコンセプトが生まれました。

最大の特徴は、シャフト全長にわたりNi-Ti(ニッケルチタン)形状記憶合金ワイヤーを内蔵していること。
0.1mm径の極細ワイヤーを約1.2mm間隔でらせん状に巻き込むという構造は、TRPX独自のもの。
このNi-Ti線材が生み出す高い復元力と“ギュン”と戻るしなり戻りにより、「軽いのに圧倒的に叩ける」という唯一無二のフィーリングを実現しています。
片山プロ自身もこのシャフトを使用し、シニアツアーでの優勝を果たすなど、実戦レベルでの性能の高さはすでに証明済み。
単なるプロ監修モデルにとどまらず、実戦を想定した細部のチューニングが随所に施されています。

デザイン面では、TRPXらしい無駄のないシンプルさの中に、メタリックなラベルやNi-Tiの構造を連想させる上質な光沢感があるのが特徴的です。
TRPXが持つカーボン設計技術と、金属素材を大胆に融合させた次世代ハイブリッドシャフト。トッププロの感覚とエンジニアリングが交差した異端の完成形と呼べるモデルです。
TRPXファビュラス Ni-Ti 40 Flashの試打計測データ



試打計測の平均データが下記
2024年以降はドライバーはヘッドスピード44m/s〜46m/sの範囲内での計測に統一しています(1m/sぐらいは前後するのはご了承ください)。
指標 | 平均値 |
---|---|
クラブ速度 | 45.2 m/s |
ボール速度 | 66.2 m/s |
スマッシュファクター | 1.46 |
キャリー | 250.7 yd |
トータル | 282.1 yd |
打ち出し角 | 15.1° |
バックスピン | 2275 rpm |
最高到達点 | 33.4 yd |
スピン軸 | –5.8° |
曲がり幅 (Curve) | 9.9 yd左 |
キャリーサイド | 15.8 yd左 |
着地角 | 38.2° |
軽量40 g台とは思えない剛性感で初速と飛距離が際立ち、しかもスピンは最適帯に収まる理想的データ。誤差も小さく、振りやすさと安定性を両立した数値が並ぶという結果になりました。
飛距離性能と上がりやすさの分析

TRPXファビュラス Ni-Ti 40 Flashは、40g台とは思えないほどのしっかり感がありながら、振り抜きの良さと飛びを両立した非常に珍しいタイプのシャフトです。
今回の試打では、クラブスピード平均45.2m/s、ボール初速66.2m/s、トータル282.1ydという堂々たる飛距離を記録。これは“飛ぶシャフト”の中でも上位に入る水準で、スイングの負担を減らしながら飛ばしたいという中上級ゴルファーにとって理想的な結果と言えます。

注目すべきはそのしなり戻りのスピードと効率の良さ。軽くても当たり負けせず、打点ブレの少ない設計がスマッシュファクター1.46という高効率にも現れており、ナチュラルにボールスピードを伸ばせる印象です。
一方で打ち出し角は平均15.1°としっかり高く出ており、バックスピンは2275rpmとやや抑えめ。これにより、弾道は伸びのある中高弾道で、風にも強く、しっかり前に伸びていくタイプの球筋が得られます。
「高く上がって前へ伸びる」というバランスが取れており、キャリーとランの両方を稼げる理想的な弾道。とくにフェード気味の設定にすると吹け上がりもなく、叩きにいっても安心して振り切れる点が、このシャフトの大きな武器になっています。
弾道や球筋、方向性の分析

TRPXファビュラス Ni-Ti 40 Flashは、スピン量や弾道高さが安定していて、伸びのある中高弾道のドロー系ボールが打ちやすいシャフトです。
トラックマンでの平均データでは、スピン軸が–5.8°、曲がり幅が約10ヤード左、キャリーサイドは平均15.8ヤード左と、やや強めのドロー傾向が見られました。
筆者自身がドローヒッターということもありますが、試打を通して感じたのは、つかまり自体は強めに出るものの、フェースが急激に返って引っかかるような挙動ではないという点です。
先端の剛性が高く、ヘッドの動きが安定しているおかげで、左に出ても球筋の曲がり幅が揃っていることが、方向性の安定につながっていました。
操作性の高さも相まって、ライン出しや高さの打ち分けはしやすく、コントロールされたドローを持ち球にしている方には非常に扱いやすい印象です。

逆に、フェード系を持ち球にしたい方や、完全な直進性を求める場合は、ヘッド側の調整(ロフト角、ウェイト位置など)でやや抑える工夫が必要かもしれません。
全体としては、ややドロー強めながら、その範囲で高い再現性がある。
「振ったぶんだけ強いドローボールで前へ飛ばす」という弾道設計にぴったりのシャフトです。
TRPXファビュラス Ni-Ti 40 Flashの振動数とフィーリング

TRPXファビュラス Ni-Ti 40 Flash(Sフレックス)の振動数は実測261cpm。40g台とは思えない高剛性で、一般的な60g台のS〜SXシャフトに匹敵する“硬さ”を持っています。
にもかかわらず、実際のフィーリングは「ただ硬い」わけではありません。手元側から中間にかけての剛性が高く、張りのある“芯の通った感覚”があるため、切り返しでは安定感があり、インパクトに向けて加速していくような挙動とフィーリングが得られました。


中間剛性は実測で450mm地点=5.45kgf、300mm地点=5.06kgfと、落差が小さいフラット寄りのEI設計だと思います。これにより、タイミングがズレにくく、振ったスピードがそのまま弾道につながるような感覚のある操作性が特徴です。
しなり戻りはNi-Ti線材による鋭いレスポンスで、“ギュン”と戻る感じはあるものの、いわゆる「粘り」感は控えめ。しなり感よりも剛性感を強く感じる設計で、手元のブレやインパクトのズレを嫌う方に好まれそうです。
結果として、60g台の挙動に慣れたゴルファーでも違和感なく振れて、それでいてクラブ全体は圧倒的に軽い。
「軽くしても振りやすさも飛距離も落としたくない」という方には最適そうです。
TRPXファビュラス Ni-Ti 40 Flashの良かった所・微妙な所
性能評価チャート
飛距離は文句なしの満点評価。軽量帯でありながら60g台のシャフトに匹敵する強弾道が打てるのは、まさにこのシャフトならではかなと思います。打ち出しも高く、適正スピンでキャリーとランのバランスも良好です。
球筋は全体的にやや強めのドロー傾向がありましたが、先端の剛性が高いためフェース面のズレは少なく、方向安定性の高さと操作性のしやすさが両立されている点もこのシャフトの強みと感じます。
中間剛性は数値的にフラットで張りがあり、振動数も高め。これによりスイングの力感とインパクト挙動が一致しやすく、芯のある操作感が得られるのもメリットでしょう。
タイミングがズレにくく、ライン出しや高さの調整も非常にしやすいため、意図した球を“狙って打てる”感覚が味わえます。
コストパフォーマンスは、性能的には十分納得のクオリティ。とはいえ定価11万円という価格帯はやはり突出しており、手軽に選べるモデルではないのは正直なところです。
まとめ|軽さで飛ばし、剛性で抑える。これが“軽硬シャフトの完成形”

TRPXファビュラス Ni-Ti 40 Flashは、単なる軽量シャフトとは一線を画す、新次元の“軽硬シャフト”です。実測トータル282ydという飛距離性能は圧巻。
そしてスイングの邪魔をせず、タイミングを取りやすい絶妙な振り心地が得られるのは、このNi-Ti構造ならでは。
先端の硬さが左へのミスを抑えつつ、操作性は軽さによって抜群。球筋のコントロールも自然にできる仕上がりでした。
中間剛性の張りが効いたEI設計も好印象で、スイングエネルギーをそのまま直線的な強弾道につなげたいゴルファーにはぴったりの構造です。
筆者のようなドローヒッターでも、強く振っていける安心感があり、「軽くしたのに、むしろ攻められる」そんなシャフトでした。
価格は定価11万円と超高いですが、それに見合う性能がしっかり詰まっていたのも事実。「もう一段階、シャフトでゴルフを変えたい」と思っている方にこそ試してほしい、唯一無二のモデルでしたね。おすすめです。
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