今回取り上げるのは「グラファイトデザイン TOUR AD FI」。こちらを購入し、さっそく試打計測を行ったのでレビューします。
計測にはトラックマン4を使用(今まではGCクアッド使っていましたが、アプリなどソフトウェアの使いやすさから変更しました)

結論から言うと全体が滑らかにしなりながらも、先端部の強化によって打ち出しの安定性と低スピン性能を高次元で両立したモデルです。
初速とキャリーの再現性、方向の直進性、粘りのあるフィーリングといった複数の要素がバランス良く揃っていました。
スイング中の挙動にはクセが少なく、インパクトでは一瞬の“間”を感じるような粘りを残しつつ、弾道は高く強く前に伸びていけるのは素晴らしい。
左右の曲がり幅も小さく、風に左右されにくい点も競技用途を考えても大きなアドバンテージとなるかなと思います。
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目次
TOUR AD FIの概要とデザイン

グラファイトデザインが展開する「TOUR AD」シリーズの2025年モデルで、高初速・高打ち出し・低スピンを両立する次世代モデルとして設計されているのが特徴とのこと。
今作は、従来の中調子シャフトとは一線を画す設計思想を持ち、特に低スピン・低重心化が進む最近のドライバーヘッドに対応するように、打ち出しを確保しつつも、直進性とスピン抑制のバランスを緻密に調整しているというのが特徴となっています。
まあ、いつものように中調子と明記されていますが手元系ですね。

最も注目するべきテクノロジーは「トルネードチップテクノロジー」です。これは先端部分の積層構造を最適化し、ねじれや潰れを抑える方向で強化することで、粘りを感じるスイング挙動と、インパクト時のエネルギー伝達効率を両立したもの。
これにより、従来モデル以上に打ち出し角を高く保ちつつ、球のねじれを最小限に抑えられるという効果が期待できるとしています。

さらに、FIでは「ADシールド」と呼ばれるカーボン積層技術も採用されています。これは、シャフト先端部では周方向(フープ方向)にカーボン繊維を配置することで、円環剛性を高め、変形を抑える仕組みです。
繊維量を増やすことなく剛性を上げることができるという事で、全体のバランスやスイング中の一体感にも貢献できるようです。

剛性分布は、公式チャートで示されるように、手元がややしっかり、中間に柔軟性を残し、先端は高剛性に仕上げられています。
EI設計としては「3+ – 3 – 3+ – 4 – 4」の流れで構成されており、滑らかな中調子に分類しつつ、特に先端側の剛性強化が顕著なのかなという印象です。
これを見ると完全な元調子というよりは、中元調子ぐらいのイメージなのかなとも思います。

TOURADシリーズの中での位置づけでは、DIよりも高弾道にはなるフェードタイプだよ!とグラファイトは言っています。
要するに、叩いても左に行きづらいけど、なぜか打ち出しも確保しやすいタイプ?という事なのでしょう。実際に感じたフィーリングなどは後述します。

コスメはクアトロテック以来となるグリーンになり、個人的にこのカラーを採用してくれたのはめちゃくちゃ嬉しいです。
下記がスペックです。
スマホ表示でも横にスライドできる形式になっています。 TOUR AD FI シャフトスペック一覧モデル | フレックス | 重量 (g) | トルク (°) | チップ径 / パラレル長 (mm) | バット径 (mm) | キックポイント |
---|---|---|---|---|---|---|
FI-4 | R2 | 49 | 5.3 | 8.5 / 75 | 15.30 | 中調子 |
R1 | 50 | 5.3 | 8.5 / 75 | 15.30 | ||
S | 51 | 5.2 | 8.5 / 75 | 15.35 | ||
X | 53 | 5.2 | 8.5 / 75 | 15.40 | ||
FI-5 | R2 | 56 | 4.6 | 8.5 / 75 | 15.35 | |
R1 | 57 | 4.5 | 8.5 / 75 | 15.35 | ||
S | 57 | 4.5 | 8.5 / 75 | 15.35 | ||
X | 60 | 4.5 | 8.5 / 75 | 15.35 | ||
FI-6 | SR | 64 | 3.2 | 8.5 / 75 | 15.20 | |
S | 66 | 3.2 | 8.5 / 75 | 15.25 | ||
X | 68 | 3.2 | 8.5 / 75 | 15.30 | ||
TX | 71 | 3.2 | 8.5 / 75 | 15.40 | ||
FI-7 | S | 75 | 2.9 | 8.5 / 75 | 15.25 | |
X | 78 | 2.9 | 8.5 / 75 | 15.30 | ||
TX | 79 | 2.9 | 8.5 / 75 | 15.35 |
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TOUR AD FIの試打計測データ



試打計測の平均データが下記
2024年以降はドライバーはヘッドスピード44m/s〜46m/sの範囲内での計測に統一しています(1m/sぐらいは前後するのはご了承ください)。
指標 | 平均値 |
---|---|
クラブ速度 | 44.5 m/s |
ボール速度 | 65.5 m/s |
スマッシュファクター | 1.47 |
キャリー | 246.7 yd |
トータル | 273.7 yd |
打ち出し角 | 15.0° |
バックスピン | 2081 rpm |
最高到達点 | 31.6 yd |
スピン軸 | -2.9° |
曲がり幅 (Curve) | 470 yd 左 |
キャリーサイド | 0.1 yd 左 |
着地角 | 36.6° |
打ち出し方向 | 1.1°右 |
打ち出し15°前後・スピン約2,000rpmという理想的な弾道に近い印象。
キャリー247yd・トータル274yd前後で安定。左右の曲がり幅は平均5yd以内に収まり、スピン軸の安定性と直進性の高さが際立つ結果となりました。
スマッシュファクターも1.47を記録しており、インパクト効率もかなり優秀です。
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飛距離性能と上がりやすさの分析

当サイトの基準としてはトータル270ヤード超えればよく飛んでいるという基準があることが前提です。
ヘッドスピード44.5m/sに対してボール初速が平均65.5m/sと、スマッシュファクター1.47を安定して出せていました。ミート率は高いレベルで安定していますね。
特に中間部が粘りながらも過剰なしなりが出ないので、振り遅れやエネルギーのロスが少ない点が反映されているのかなと感じました。
飛距離の面では、キャリーが246.7ヤード、トータルで273.7ヤードと、ロングキャリーと効率的なランの両方をしっかりと確保できていますね。

データを見る限り、典型的な高弾道+低スピンで、メーカーの説明どおりになってしまっているのが悔しいところではあるものの、かなり良い数値ではあります。
これは、打ち出し15.0°の中高打ち出しで、最高到達点は31.6ヤードと中〜やや高めで、打ち出しの高さとスピン量とのバランスが良く取れていました。
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弾道や球筋、方向性の分析

スピン軸の平均値が–2.9°と軽いドロー回転で、、球筋としてはわずかに左に曲がる傾向も見られました。
ただし、極端につかまる印象はなく、あくまでもフェースターンを適度に抑えた中で自然なドローを生み出していると認識してもらいたいです。
特に筆者は普段ドロー傾向が強めなので、先端の剛性がしっかりと効いており、過剰なつかまりを抑制していることが読み取れるデータです。
データ的にはわずかにドロー傾向が見られますが筆者の持ち球を考慮した場合、FIはストレートからフェードイメージのシャフトで間違いありません。

左右の曲がり幅は平均4.7ヤード(左方向)に収まり、最大でも10ヤードを超えることはありませんでした。
まあ、上の分散図を見てもらうとわかるように、ほぼセンターイメージです。

キャリーサイドの平均も0.1ヤード左と極めてセンターに近く、方向の安定性に関しては非常に優秀な結果だったといえます。
打ち出し方向は–0.6°とわずかに左寄りですが、これはつかまりすぎというよりは、スイング傾向との兼ね合いによる微調整範囲内です。
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TOUR AD FIの振動数とフィーリング

TOUR AD FI-6Sの実測振動数は278cpmを示し、同一スペック帯の中ではややしっかりめの値となりました。
カスタムシャフトの6Sフレックスの基準としては260〜270cpmぐらいが多いですが、FIは一段階ハード寄りのデータ。


加えて、センターフレックス計による荷重測定では、バット側で5.73、中間〜先端寄りで6.10でした。
数値がそもそも高めなのは気になるところですが、シャフトのしなり剛性が先端方向にかけて連続的に高まっています。
これは、公式チャートで示された「3+ – 3 – 3+ – 4 – 4」というEI分布とも合っていますし、トルネードチップやADシールドによって強化されているという謳い文句どおり、先端の安定感を数値的に裏付けるものでもあると思います。
振動数はなんと6Sで273cpm。中間剛性も6越えというところで、静的な計測ではゴリゴリにハードな仕様に見えますけど、振ってみるとVENTUS系よりもしなやかさがあるという不思議な挙動でした。つまりハードさは思っていたよりもなかったです。
DIよりも手元のしっかり感があるので、全体の剛性差をさほど感じないので、GCとかPTの方に近いフィーリングに感じましたね。
あと、先端が結構硬いにも関わらず、高さを確保しやすい点は面白いです。
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TOUR AD FIの良かった所・微妙な所
TOUR AD FIの性能評価チャート
24 VENTUSブルーに匹敵する性能で安定性と飛距離を両立できていて見事です。
特に当たり負けしづらくて初速も安定して出せ、それでいて高さも確保しやすいという謎仕様なのも最高と言っていいでしょう。どうやってこれを実現しているのかはマジで意味不明。
打点ブレ時もヘッドの捻じれを抑え込みやすいので安定感も高いです。
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まとめ

全体が滑らかにしなりながらも、先端部の強化によって打ち出しの安定性と低スピン性能を高次元で両立したモデルです。
初速とキャリーの再現性、方向の直進性、粘りのあるフィーリングといった複数の要素がバランス良く揃っていました。
スイング中の挙動にはクセが少なく、インパクトでは一瞬の“間”を感じるような粘りを残しつつ、弾道は高く強く前に伸びていけるのは素晴らしい。
左右の曲がり幅も小さく、風に左右されにくい点も競技用途を考えても大きなアドバンテージとなるかなと思います。
特に、「つかまりすぎない中調子」「高打ち出しで低スピン」「粘り感のあるシャフト」を求める人にとっては、FIは非常に理にかなった選択肢になると思うので素直におすすめです。
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