タイトリスト T100 アイアン(2025)の試打計測を行ったのでレビューします。
計測にはトラックマン4を使用(今まではGCクアッド使っていましたが、アプリなどソフトウェアの使いやすさから変更しました)

結論から言うと、T100(2025年モデル)は、ツアー系アイアンらしい精密さと弾道の安定性を重視した設計で、狙った距離・方向を高い再現性で打ち出せるモデルです。
操作性やスピン量の安定感は申し分なく、プロの使用率が高いのも納得の完成度。柔らかい打感を求める人にはやや硬質に感じるかもしれませんが、ラインを出してスコアをつくるためのアイアンを求める人には、ぜひ試してほしいモデルです。
目次
タイトリスト T100 アイアン(2025)の概要とデザイン

タイトリスト T100(2025年モデル)は、ライン通りにボールを運びたい上級者や中上級者のニーズに応えるべく、精密な操作性と弾道コントロール性能を軸に設計されたモデルです。外観や基本構造は前作のT100(2023)を継承しつつも、細部には大幅な再設計が施されており、結果としてより高い直進性と安定したキャリー性能を実現している点が注目ポイントとなります。

ボディは軟鉄鍛造によるデュアルキャビティ構造。内部にはヒールとトウ側に高比重のD18タングステンを分割配置することで、打点がズレた際のエネルギーロスを抑え、フェース全体で安定した初速と弾道を得られるようになりました。前作でも同様の構造が採用されていましたが、2025年モデルではこのタングステン配分をさらに精密に調整。重心のバランスを細かく最適化することで、打感や寛容性が一段と洗練されているのがウリ。
新たな要素として注目されるのが、3番・4番に導入された「マッスルチャネル構造」です。内部に溝を設けて余剰重量を下げることで低重心化を図り、ロングアイアンでも十分な打ち出し角と高さを確保。グリーンを狙えるキャリー性能を追求した設計です。また、すべての番手でフェース厚を可変設計(VFT)とし、フェースセンターを外しても飛距離の差が出にくいようになっています。

フェース面はCNCミルド加工によって均一な厚みと平面性を狙っています。溝(スコアライン)は番手ごとに角度や深さを変えることで、ミドルからショートアイアンにかけてスピンのばらつきを抑え、特にラフからのスピン性能を高めています。これはツアーからのフィードバックを受けて設計されたもので、実戦下での再現性を重視する思想が色濃く反映されたカタチですね。


ソール形状も改良されており、特にトレーリングエッジの丸みを強調することで、芝の抵抗を軽減し、インパクト後の抜けをスムーズにしています。クラブの接地時間を短くすることで、ダフリのリスクを減らし、操作のしやすさにもつながっています。このソールデザインはボーケイウェッジの研磨技術を応用しており、職人の手作業による仕上げが一貫した振り抜き感を支えています。


ヘッドサイズやトップラインの厚みは特に大きくは変わっていませんが、構えてみるとフェースのトウ寄りの部分がかなり逃がした形状になっているのが印象的ですね。これは左へのミスを軽減するためでしょうか。オフセット量にも違いはあまりなさそうです。
シリーズ内でのコンボセッティングにも対応しやすく、T150やT200との親和性も高い仕上がりです。全体として、T100はただのマイナーチェンジではなく、打感・重心設計・スピン安定性といった各要素が丁寧にブラッシュアップされた完成度の高いモデルに進化したと言えるでしょう。
ヘッドスペックは下記
番手 | ロフト角 (°) | ライ角 (°) | オフセット (mm) | クラブ長(インチ) | バウンス角 (°) | 構造 | 素材 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
3番 | 20 | 60.5 | 3.5 | 39.00 | 4 | 鍛造キャビティ | 軟鉄+タングステン |
4番 | 23 | 61.0 | 3.3 | 38.50 | 5 | 鍛造キャビティ | 軟鉄+タングステン |
5番 | 26 | 61.5 | 3.1 | 38.00 | 6 | 鍛造キャビティ | 軟鉄+タングステン |
6番 | 29 | 62.0 | 2.9 | 37.50 | 7 | 鍛造キャビティ | 軟鉄+タングステン |
7番 | 33 | 62.5 | 2.6 | 37.00 | 8 | 鍛造キャビティ | 軟鉄+タングステン |
8番 | 37 | 63.0 | 2.3 | 36.50 | 9 | 鍛造キャビティ | 軟鉄+タングステン |
9番 | 41 | 63.5 | 2.0 | 36.00 | 10 | 鍛造キャビティ | 軟鉄+タングステン |
P(PW) | 45 | 64.0 | 1.8 | 35.75 | 11 | 鍛造キャビティ | 軟鉄+タングステン |
W(49°) | 49 | 64.0 | 1.6 | 35.50 | 12 | 鍛造キャビティ | 軟鉄+タングステン |
タイトリスト T100 アイアン(2025)の試打計測データ



試打計測の平均データが下記
2024年以降はアイアンはヘッドスピード37m/s〜39m/sの範囲内での計測に統一しています(1m/sぐらいは前後するのはご了承ください)。
項目 | 平均値 |
---|---|
クラブスピード | 37.7 m/s |
ボールスピード | 50.2 m/s |
スマッシュファクター | 1.33 |
打ち出し角 | 20.7° |
スピン量 | 6,667 rpm |
キャリー | 152.3 yd |
トータル距離 | 157.6 yd |
最高到達点 | 32.9 yd |
落下角度 | 50.4° |
スピン軸 | 0.4°(軽いフェード傾向) |
曲がり幅 | 0.5 yd右 |
キャリーサイド | -2.0 yd左 |
打ち出し方向 | −0.9°(やや左) |
飛距離性能と上がりやすさの分析

T100(2025年モデル)の7番アイアンは、キャリー平均152.3yd、最高到達点32.9ydという実測値を記録。まあ飛びはこんなもんでしょう。
ロフト33°の設計としては適正な飛距離で、やや高めの打ち出しとスピンによって高さを確保できている点が特徴です。
スマッシュファクターは1.33とぼちぼちの効率で、ボールスピードの揃い方的な安定感も優秀。当然ながら飛距離を出すというよりは、番手ごとの飛距離を崩さずに正確な距離管理をしっかりと反映する方向性の設計といえます。

弾道の頂点は30yd台前半で、ランディング角は50.4°。止めやすさの指標に関しては文句なしの高水準です。グリーンに対してはしっかりと止められる落下角です。
極端な高弾道ではないものの、打ち出し角やスピン性能とのバランスが取れており、アゲンストにも対応しやすい設計なのかなと感じました。
この手のタイプとしては打点ブレにもそんなに弱くないのも良い点かなと思います。
弾道や球筋、方向性の分析

基本的な性能としては極めて直進性が高く、安定した球筋が印象的です。
スピン軸の平均は0.4°とほぼストレートに近い値で、弾道は軽いフェード傾向を保ちながらも曲がり幅は0.5yd程度。左右のばらつきも±2〜3ydに収まり、方向の再現性は非常に高い部類に入ります。

打ち出し方向は−0.9°(わずかに左)と軽微で、打ち出し方向と最終着弾点のズレも極めて少なく、ターゲットラインに対して安定してラインを出せる印象があります。
飛びすぎによる左への大きなミスも見られず、あくまでフェースコントロールとスイング軌道の通りに反応する設計という感じで素晴らしいです。

直進性と曲がり幅の少なさは、トータルでの「ライン出し性能の高さ」につながっていて、縦だけでなく横の精度も求められる状況下でこそ、このT100の特性が発揮されると思います。
それでいて意図的なフェード・ドローの打ち分けやすく、操作性にも優れているのがこのアイアンの大きな魅力でしょう。スイング通りに弾道を描ける信頼感が、プレッシャーのかかる場面でこそ武器になりそうです。
フィーリング

打感はタイトリストらしいソリッド系で、弾き感が明瞭なタイプでした。ただし、鍛造キャビティらしい“厚みのある柔らかさ”を期待している場合はややギャップを感じるかもしれません。筆者が感じた実際の打感はそれほど柔らかくはなかったですし、前作からのフィーリング面での大幅な進化は感じにくい印象でした。
前作と比較して打音や振動の質に明確な違いは少ない。特にショートアイアンではフェースの剛性感がやや強く伝わるため、柔らかい打感を好む人にはやや硬めに感じられるかもしれません。
とはいえ、打点が安定している場面では不快なノイズや高音成分も少なく、弾きとフェースの乗り感のバランスはまあそれなりに良いです。
“打ち応えのある感触”として言えば納得感はあるかもしれませんが、あくまでフィーリング重視ではなく、操作性や弾道管理を重視する設計思想がそのまま打感にも現れているように感じました。
タイトリスト T100 アイアン(2025)の良かった所・微妙な所
性能評価チャート
飛距離やつかまりよりも、縦横のブレを抑えた安定性と再現性に重きを置いたアイアン。
高さ・スピン・操作性のバランスが非常に良く、ラインを出して狙うショットで真価を発揮します。
打感に柔らかさを求める人にはやや物足りなさが残るかもしれませんが、精度を重視する人にとっては大きな信頼を寄せられる仕上がりだと感じました。
まとめ

T100(2025年モデル)は、ツアーモデルとして期待どおりの性能でした。飛距離やつかまりに頼る設計ではなく、高さ・スピン量・方向安定性といった要素を徹底的に整えることで、狙った弾道を何度も再現できる実戦的な性能に仕上がっています。
打感に関しては好みが分かれる部分もあり、鍛造らしい柔らかさを重視する人には少し物足りなさを感じるかもしれません。また、寛容性もあくまでツアー基準での設計のため、ある程度のミート力は求められる点も相変わらずです。
とはいえ、ツアープロの使用率の高さも納得できる仕上がりであり、ヘッドの挙動やスピン量の安定感はまさにその証。愚直にプロからのフィードバックを反映してきた姿勢が随所に感じられます。
ラインを出すショットで結果を求めたい人、スコアを支える軸となるアイアンを探している人にとって、T100は一度試してみる価値のあるモデル。ツアータイプの中では外せないアイアンとしておすすめ。
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