キャロウェイ APEX UW(2025)の試打計測を行ったのでレビューします。
計測にはトラックマン4を使用(今まではGCクアッド使っていましたが、アプリなどソフトウェアの使いやすさから変更しました)

結論から言うと、これまでのAPEX UWと比べて、バックスピン量が入りやすくなり、グリーンで止めやすさが大きく向上しています。
にもかかわらず、飛距離のロスが出ていない反発の良さも高く評価できるポイントです。
初代で好評だった顔つきや操作性を引き継ぎながら、AIフェースと新構造によって安定性・寛容性にも磨きがかかっており、全体として非常に完成度の高い仕上がりになっています。狙った距離を正確に落とし込みたい人や、地面から高さを出したい人にとって、より信頼できる選択肢になった印象です。
目次
キャロウェイ APEX UW(2025)の概要とデザイン

キャロウェイ「APEX UW(2025)」は、フェアウェイウッドとユーティリティの中間的な性能をもつユーティリティウッドの3代目です。
初代がプロや競技志向のプレーヤーから高評価を得ていて、名器としても有名。今でも中古市場では人気モデルですね。
一方、2代目ではヘッドサイズや構えた印象がやや変化し、好みが分かれる場面も見られました。
そこで今作では、初代の顔つきや抜けの良さを踏襲しながらも、内部構造を中心に大幅なアップデートが加えたというのがトピックとなります。

最大の注目点は、ELYTEシリーズにも搭載されている「Ai APEXフェース」の採用です。
実際のプレーヤーデータをもとに設計されたAIフェースは、オフセンターヒット時でも初速の落ち込みを抑え、上下方向のスピンと打ち出し角も同時に最適化。
さらに、フェース素材には高強度・高反発のC300マレージング鋼を使って、安定した飛距離を出していくぜ!という構造。

また、今作ではヘッド内部に「タングステン・スピードウェーブ」というものが搭載されており、重心をフェース寄りかつ低い位置に配置することで、強弾道と高スピンのバランスを追求しているとしています。
これによって、グリーン上で止めやすい理想的な弾道を実現していると。
加えて、クラウン部分にはトライアクシャル・カーボンを用いることで軽量化を図り、重量配分の自由度を高めています。
ただ、これは単に低重心化するという事ではなくて、あくまでもプロや上級者がコントロールできるスピン性能を底上げしたいから実装したようです。


ヘッド形状は初代で好評だったシャープな輪郭が復活。しているらしい。
ただ、フェース側と後方を区切るようなクラウンスリットがあるので、初代とは見え方はだいぶ違う印象になっていますから、ここで好き嫌いは出そうだとは思いますね。
個人的には今風ですし、フェースアングルもかぶって見えないので、良い顔してんな!という感想です。

ソールには段差のある「ステップ・ソール構造」が新たに加わり、接地面積を抑えながら抜けの良さを確保。
芝の抵抗を最小限に抑え、様々なライからでもスムーズにスイングできる設計になっています。

細部の調整も抜かりなく、ホーゼルは前作よりわずかに延長されており、これが全体の重心位置とつながる精密な設計意図を感じさせます。
ちなみに構えた時にはこのネックの長さは特に気になりませんでした。

さらに、ソール前方には5gのスクリューウェイトを配置。
ユーザーのフィーリングに合わせた調整も可能となっている、と公式サイトにも記載がありますが、筆者は外したりはしていないので、実際に外れるのかは不明。たぶん外すことはできると思うけれど、もし外す場合は自己責任で。
スペックは下記。表は横にスライドできます。
ロフト角 | クラブ長さ | ヘッド体積 | ライ角 | クラブ重さ(S) | スピン量目安 | 対応番手 |
---|---|---|---|---|---|---|
17° | 41.75インチ | 126cm³ | 58.3° | 約360g | 中スピン | 3W〜5W代替 |
19° | 41.0インチ | 126cm³ | 59.0° | 約360g | 中スピン | 5W〜7W代替 |
21° | 40.25インチ | 126cm³ | 59.8° | 約360g | 中スピン | 7W・3H代替 |
23° | 39.5インチ | 120cm³ | 60.5° | 約360g | やや高スピン | 3H〜4H代替 |
キャロウェイ APEX UW(2025)の試打計測データ



試打計測の平均データが下記
2024年以降、フェアウェイウッドはヘッドスピード42m/s〜44m/sの範囲内での計測に統一しています(1m/sぐらいは前後するのはご了承ください)。
項目 | 平均値 |
---|---|
クラブスピード | 39.8 m/s |
ボールスピード | 58.6 m/s |
スマッシュファクター | 1.48 |
打ち出し角 | 15.9° |
スピン量 | 4047 rpm |
キャリー | 201.6 yds |
トータル距離 | 215.1 yds |
最高到達点 | 34.1 yds |
落下角度 | 45.3° |
スピン軸 | -0.1° |
曲がり幅 | 0.2 yds 左 |
キャリーサイド | 11.7 yds 左 |
打ち出し方向 | -3.3° |
平均キャリーは200yd超え、21°帯のユーティリティとしては飛びます。
打ち出しとスピンのバランスが良く、高さ・落下角ともにグリーンに止まる弾道設計がしっかりと反映されていました。
方向性も安定しており、スピン軸のブレや曲がり幅の小さいです。
飛距離性能と上がりやすさの分析

21°で200ヤードを安定して超えてくるので飛びはやはり優秀。これまでのUW同様にフェアウェイウッドの代替としてしっかり機能してくれます。
ただ、飛びだけで言えば初代・2代目と大差はなくてほとんど同じですね。さらに飛ぶようになっているのでは?という期待は禁物かと思います。
ただし、バックスピン量は平均で200~300回転ほど増えているため、よりコントロールしやすくなっていますし、グリーンでの止めやすさもアップしていました。
スピンが入るようになっても飛距離が落ちていないのは、初速効率が良くなっているからだと思いますので、そこが上手く嚙み合っているなと感じます。

フェース下部でヒットに強くなっているという事でしたが、確かにボールは浮きやすくてトップ気味でもある程度キャリーを確保しやすくなったのは良くなったところです。
あと、先程も言ったようにスピンがより入るようになったので高さも出しやすく、落下角度も7番アイアン並みになっているのでも申し分ないです。
進化している点としては、バックスピンの増加でよりコントロール性能が上がったところ。これに尽きます。
弾道や球筋、方向性の分析

打球の分散は上の画像の通りですが、集弾性はかなり良かったですね。
前後のキャリー差は200ヤード近い距離を狙うクラブなので、それを考慮すれば優秀。
やや左に集中しているのは気がかりかと思いますが、データを見ると曲がり自体はそこまで強くありません。

左に集まったのは打出しから少し左に出る傾向があったためで、ほとんどストレート系です。

ピン軸もほとんど傾きがなくて、平均でも-0.1°。曲がり幅も0.2というところなので、フェードバイアスのクラブと思ってもらう方がいいです。
ここに関しては初代から設計意図は一貫していると思いますし、プロからの信頼が厚いのも頷ける部分でしょう。
つまり、つかまりはあまり良いクラブではないので、スライサーがクラブ任せで捕まえていくことは難しいです。そこは注意してもらいたいところ。
反対に従来のUTやショートウッドでは左が怖いよ!って方には相変わらず相性が良いと思います。
キャロウェイ APEX UW(2025)のフィーリング

打感はこれまでのAPEX UWよりはこもった打音なので、弾き感は弱まったような印象を受けます。これは今作がカーボンクラウンになった事が要因でしょう。
ただ、従来どおりユーティリティというよりはフェアウェイウッドの雰囲気に近い打感であることは変わらず。
操作性についても同様のイメージですが、やはりスピンが入りやすい事が影響しているため、今作が一番ボールを操りやすい印象はあります。
キャロウェイ APEX UW(2025)の良かった所・微妙な所
キャロウェイ APEX UW(2025)の性能評価チャート
初速の強さと高いスマッシュファクターにより、21°としては飛距離性能が非常に高い。キャリーとランのバランスも良好。
中弾道〜やや高弾道で自然に球が上がる設計なので上がりやすさも高得点です。
平均4000rpm超のスピンがしっかり入り、縦距離の安定性とグリーンでの止まりやすさを両立している点も強みになっています。
まあ軒並み評価は高いですが、期待どおりだったユーティリティです。
まとめ

これまでのAPEX UWよりもバックスピンがさらに入りやすくなったことでグリーンで止めやすさは格段にアップしている点が良かった。そしてスピンが増えても飛距離ロスが出ていない反発の良さも評価したいところです。素晴らしい進化でした。
また、初代で好評だった顔つきや操作性を引き継ぎながら、AIフェースと新構造の採用によって、安定性と寛容性にも磨きがかかっていて隙のない仕上がり。
つまり飛距離だけでなく、狙った距離を正確に落とし込みたい人、地面から高さを出したい人にとって、これまでのAPEX UWよりもさらに頼れる選択肢になっているんじゃないかなと思います。
打感はカーボンコンポジットになったところで好みが分かれるかもしれませんが、性能面では順当に進化していますし、プロから評価の高かった部分はしっかりと継承されていて、非常に完成度が高い仕上がり。やはりおすすめ!
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